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I’ll See You In My Dreams
- 作曲: JONES ISHAM

I’ll See You In My Dreams - 楽譜サンプル
I’ll See You In My Dreams|楽曲の特徴と歴史
基本情報
本作は、作曲Isham Jones、作詞Gus Kahnによる1924年のポピュラー曲。のちにジャズ・スタンダードとして定着し、アメリカン・ソングブックを代表する一曲とされる。形式は32小節AABAが基本。タイトルが示す通り、別れの切なさと「夢でまた会える」という希望を描く。原曲はボーカル曲だが、器楽曲としても頻繁に取り上げられる。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律はAセクションでなだらかな順次進行を中心に親しみやすく展開し、Bセクションでは調性感が開ける進行を用いて高揚を生む。コードは循環進行やセカンダリードミナントが要所で用いられ、リハーモナイズもしやすい。演奏テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、ギターではジャンゴ系の“ラ・ポンペ”、小編成ジャズでは4ビートのウォーキング・ベースが定番。エンディングでタイトル・フレーズを余韻として残すアレンジも多い。
歴史的背景
1920年代のダンス・バンド全盛に生まれ、ティン・パン・アレーの洗練された職業作曲の成果を体現する。Isham Jones and His Orchestraの演奏でヒットし、レコードと楽譜の販売を通じて広く浸透。1951年には作詞家ガス・カーンの半生を描く映画『I'll See You in My Dreams』が公開され、ドリス・デイの歌唱とともに楽曲がふたたび注目を集めた。
有名な演奏・録音
古典的な名演として、Isham Jones楽団の録音に加え、ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリによるギター/ヴァイオリン版が知られる。映画版でのドリス・デイの録音も標準的解釈として参照される。2002年『Concert for George』ではジョー・ブラウンがウクレレで終演曲として披露し、世代を超えてこの歌の普遍性を印象づけた。
現代における評価と影響
現在もジャム・セッションやレパートリー教材で定番化し、ジャズはもちろん、ギターやウクレレのコミュニティでも愛奏される。別れと希望を併せ持つメッセージ性から、追悼やコンサートのクロージングに選ばれる例も多い。理論面ではAABA形式、トライトーン置換、循環進行の実践練習曲として有用で、初心者から上級者まで活用できる。
まとめ
『I’ll See You In My Dreams』は、1924年生まれの普遍的スタンダード。親しみやすい旋律と柔軟な編成適応力、豊かな解釈余地を備え、時代やジャンルを越えて演奏され続けている。入門曲としても、深掘りする題材としても最適だ。