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I’m Coming Virginia

  • 作曲: COOK WILL MARION,HEYWOOD DONALD
#スタンダードジャズ
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I’m Coming Virginia - 楽譜サンプル

I’m Coming Virginia|楽曲の特徴と歴史

基本情報

“I’m Coming Virginia”は、COOK WILL MARIONとDONALD HEYWOODの名義で1926年に発表された楽曲。ポピュラー・ソングとして書かれ、のちにジャズ・スタンダードとして定着した。歌詞の存在する曲だが、正式な作詞者クレジットは資料により扱いが分かれ、現時点では情報不明。初演や初出舞台の詳細も情報不明だが、当時のダンス・バンドや歌手のレパートリーに早くから取り上げられ、レコード市場で広まりを見せた。

音楽的特徴と演奏スタイル

しなやかな旋律線と、感傷と希望を行き来するハーモニー運びが魅力。多くの演奏でややスローからミディアムのテンポが選ばれ、管楽器がレガートで歌う解釈が映える。イントロで自由なルバートや間を活かし、テーマ後にアドリブ・コーラスを重ねる構成が一般的。歌伴の場合は歌詞の郷愁的イメージを重視し、器楽演奏では音色の陰影やダイナミクスのコントラストで物語性を描くアプローチが好まれる。

歴史的背景

1920年代のアメリカで、黒人音楽家によるポピュラー曲とジャズの接点から生まれた一曲として位置づけられる。出版年の1926年前後は、ダンス音楽とジャズが急速にレコードを通じて普及した時期であり、本曲もその波に乗って広まった。白人・黒人双方の楽団に演目として受け入れられ、サロン的な品格とブルース由来の情感を兼ね備えたレパートリーとして評価を高めていった。

有名な演奏・録音

初期の重要例として、歌手エセル・ウォーターズの録音(1926年)が知られる。さらに、フランキー・トランバウアー楽団に参加したビックス・バイダーベックのコルネットをフィーチャーした1927年の録音は、本曲の代表的名演としてしばしば言及される。ここではギタリストのエディ・ラングも参加し、抒情とスイング感の均衡を示した。以降も多くの歌手・器楽奏者が取り上げ、ジャズ教育やセッションの定番曲として録音・演奏が重ねられている。

現代における評価と影響

メロディの歌わせやすさと、和声進行の奥行きの両立が、今日でも演奏者にとって魅力的な素材となっている。スロー・バラードから軽快なスウィングまで幅広く対応でき、アレンジの自由度が高い点も支持理由。歴史的名演の蓄積が豊富なため、解釈の参照軸が明確でありつつ、新たな音色設計やリハーモナイズの余地も残されている。結果として、クラブ、コンサート、教育現場での定番として生き続けている。

まとめ

“I’m Coming Virginia”は、1926年発表のポピュラー曲として生まれ、名手たちの録音を通じてジャズ・スタンダード化した。郷愁と品位を併せ持つ旋律は、歌唱にも器楽にも適し、時代を超えて解釈の可能性を広げ続けている。基本情報の一部は情報不明ながら、名演によって価値が実証されてきた古典と言える。