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It Might Be You

  • 作曲: GRUSIN DAVID
#スタンダードジャズ
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It Might Be You - 楽譜サンプル

It Might Be You|歌詞の意味と歴史

基本情報

It Might Be Youは、作曲家デイヴ(デイビッド)・グルーシンが手がけ、作詞をアラン・バーグマンとマリリン・バーグマンが担当したバラード。映画『トッツィー』(1982年、監督シドニー・ポラック)の主題歌としてスティーヴン・ビショップが歌い広く知られるようになった。温かなピアノとストリングスを基調としたアレンジは、グルーシンの洗練された和声感と映画音楽的な抒情性を兼ね備え、作品全体のロマンティックな空気を象徴している。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、長い時間を経てようやく訪れた「かもしれない」出会いへの予感と、慎重に心を開いていく内面の声を描く。決定的な断言を避ける語り口が、運命の相手に出会った瞬間の高揚と不安の同居を巧みに表現。多幸感のあるメロディに対し、言葉は控えめで内省的であり、恋の確信が徐々に輪郭を帯びていく過程を丁寧に追う構造になっている。具体的な物語固有名詞は少なく、聴き手が自身の体験に重ねやすい普遍性を持つ点が、長く愛される理由の一つといえる。

歴史的背景

『トッツィー』は、役を得るため女装する俳優を描いた人間ドラマで、社会的視点とロマンティック・コメディの要素を併せ持つヒット作。その中心に据えられたIt Might Be Youは、映画の感情線を結び、グルーシンのスコアと共鳴する形で物語の余韻を強めた。楽曲は第55回アカデミー賞(1983年)主題歌賞にノミネートされ、映画音楽とポップスの交差点に位置する代表的バラードとして評価を高めた。初出年の詳細な出版情報は情報不明だが、映画公開とともに広く浸透した。

有名な演奏・映画での使用

最も知られるのはスティーヴン・ビショップによるオリジナル・ヴォーカルで、映画『トッツィー』の主題歌として使用された点である。柔らかな声質と穏やかなテンポは画面の情景と親和性が高く、エンドクレジットや重要場面での感情の架け橋として機能した。録音やカバーの網羅的な一覧は情報不明だが、楽曲が映画主題歌として確固たる存在感を持つことは広く認知されている。

現代における評価と影響

It Might Be Youは、映画とポップスの境界を軽やかに越えたバラードとして語り継がれている。ピアノ主体の伴奏、抑制の利いたリズム、ストリングスの包容力という編曲語法は、その後のシネマティック・ポップやアダルト・コンテンポラリー系バラードにも通じる指標となった。ストリーミングやプレイリストでの具体的な数値は情報不明だが、作品紹介や映画音楽特集での取り上げは現在も継続している。

まとめ

デイヴ・グルーシンの精緻なハーモニー感と、バーグマン夫妻の普遍的な言葉が出会ったIt Might Be Youは、映画『トッツィー』を象徴する名曲である。確信ではなく「かもしれない」という繊細な情感を核に、聴き手それぞれの人生に寄り添う余白を残す点が最大の魅力。映画文脈と単独曲としての完成度を兼備し、今なお穏やかな感動を静かに更新し続けている。