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Joey, Joey, Joey
- 作曲: LOESSER FRANK

Joey, Joey, Joey - 楽譜サンプル
Joey, Joey, Joey|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Joey, Joey, Joey」は、作曲家フランク・レッサーが音楽・歌詞の双方を担ったミュージカル『ザ・モースト・ハッピー・フェラ』(1956年ブロードウェイ初演)の劇中歌。物語の節目で心情を掘り下げるバラードとして置かれ、シーンの心理的核心を担う。オリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音によって広く知られ、以後の上演やコンサートでも取り上げられてきた。レッサーの旋律美とドラマ性が結びついた、ショーチューンの代表的ナンバーの一つとして評価される。
歌詞のテーマと意味
歌詞の核にあるのは、どこかへ向かわずにはいられない衝動と、いま在る場所に踏みとどまる責任との葛藤である。自己への呼びかけにも似たタイトルが示すとおり、主人公は内面の声に耳を傾け、留まるか、旅立つかという岐路に立つ。外界の誘惑と内省が交錯し、若さ特有の焦燥、居場所探し、そして自由への希求が折り重なる。言葉運びは平明だが、反復と間(ま)を生かした表現が切実さを増幅し、聴き手に普遍的な共感をもたらす。
歴史的背景
1950年代はブロードウェイ黄金期。『ガイズ&ドールズ』(1950)の成功後、レッサーはより大きなスケールの作品へと向かい、『ザ・モースト・ハッピー・フェラ』を完成させた。本作はしばしば“オペラ寄り”と評されるほど音楽量が豊富で、アリア的なソロがドラマを進める。そうした文脈の中で生まれた「Joey, Joey, Joey」は、独白の機能を持つ典型的な劇中歌として、ストーリーと音楽の統合が進んだ当時の潮流を体現している。
有名な演奏・映画での使用
基準となるのはオリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音で、リバイバル公演やコンサート版でも録音・映像化が行われている。ボーカル・リサイタルやミュージカル俳優のアルバムで取り上げられる機会も多く、編曲次第で親密なバラードからドラマティックな抒情歌まで幅を見せる。一方、映画での顕著な使用や特定の映像作品への採用については情報不明。ショーチューンとしての舞台文脈での評価が中心である。
現代における評価と影響
今日では、ミュージカル俳優や声楽家のレパートリーとして定着し、オーディションやワークショップでも取り上げられる。広めの音域、持続するフレーズ、微妙なダイナミクス制御など、技術と表現力の双方が試されるため、歌い手の“語る力”を示す好材料となる。作品全体の再評価の流れとともに、本曲も“歌詞とドラマの不可分性”を示す教材的価値を持ち、ショーチューンの手本として参照され続けている。
まとめ
「Joey, Joey, Joey」は、旅心と逡巡という普遍的テーマを、レッサーならではの旋律と言葉で結晶させた劇中歌である。『ザ・モースト・ハッピー・フェラ』という豊饒なスコアの中核に位置し、舞台上のドラマを濃密に支える。著名録音は舞台由来が中心で、映画での使用は情報不明ながら、歌い継がれる価値は揺るがない。ショーチューンを学ぶうえで、音楽的にも物語的にも示唆に富む一曲だ。