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Doralice

  • 作曲: CAYMMI DORIVAL (SEN), ALMEIDA ANTONIO
#ボサノバ
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Doralice - 楽譜サンプル

Doralice|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Doralice」は、ブラジルの作曲家ドリヴァル・カイミとアントニオ・アルメイダによる楽曲。原語はポルトガル語で、サンバ/ボサノヴァ系の歌ものとして広く親しまれている。発表年は情報不明だが、ボサノヴァ文脈で再評価され、現在はジャズ現場でも標準曲として扱われることが多い。本稿では歌詞の全文は扱わず、曲の概要と聴きどころ、代表的な録音を中心に紹介する。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快なサンバのパルスに乗るコンパクトなメロディが特徴。ギターの分散和音とシンコペーション、二拍系の推進力が要となり、ヴォーカルは会話的で粒立ちの良いフレージングが求められる。ハーモニーは機能和声を基盤に、短いスパンで転回するコード進行が続き、即興ではガイドトーンとシンコペーションの両立が肝。テンポは中速〜速めに設定されることが多く、エンディングではリタルダンドせずに切れ味よく収束する解釈がよく聴かれる。調性や具体的なフォームは演奏ごとに異なるため情報不明とするが、コンパクトかつ密度の高い設計が、ライヴでも録音でも映える。

歴史的背景

ドリヴァル・カイミはバイーア出身の巨匠で、海や日常を詠ったサンバで知られる存在。アントニオ・アルメイダとの共作「Doralice」は、後年のボサノヴァ潮流の中で取り上げられ、都市的で洗練された解釈へと拡張された。1950年代末から60年代にかけて、ブラジル国内のラジオやクラブ文化を通じて浸透し、リオ・デ・ジャネイロの音楽家たちのレパートリーに定着した。初演や初出の詳細は情報不明。

有名な演奏・録音

国際的な認知を決定づけたのは、1964年に世界的成功を収めたアルバム『Getz/Gilberto』に収められたヴァージョン。ジョアン・ジルベルトのギターとヴォーカル、スタン・ゲッツのサックスが軽妙に絡み、曲のスピード感と洒脱さを印象づけた。以後、多数の歌手やジャズ・インストゥルメンタリストがレパートリー化し、クラブ、ジャズ・バー、音大のアンサンブルでも頻繁に取り上げられている。映画やドラマでの使用については情報不明。

現代における評価と影響

今日では、ボサノヴァ/サンバを学ぶ際の基礎レパートリーとして定着し、ポルトガル語歌唱やバッキングのリズム運用を学ぶ実践曲として重宝される。短い構成に濃密なリズムと和声が詰まっているため、セッション現場でも扱いやすく、配信時代のプレイリストでも親和性が高い。国際的には“軽快で陽性、しかし上品”という評価が一般的で、耳馴染みの良さと演奏難度のバランスが支持を集める要因となっている。

まとめ

「Doralice」は、サンバの躍動感とボサノヴァの洗練を凝縮した標準曲であり、シンプルな器楽編成でも豊かな表情を引き出せる。作曲者の美学と後続世代の解釈が重なり、時代や国境を越えて生き続けている。初出年や一部クレジットの詳細は情報不明ながら、名演に触れれば楽曲の魅力は自ずと伝わるはずだ。