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Lulu’s Back In Town

  • 作曲: WARREN HARRY
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Lulu’s Back In Town - 楽譜サンプル

Lulu’s Back In Town|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Lulu’s Back In Town』は、作曲Harry Warren(入力表記:WARREN HARRY)、作詞Al Dubinによる1935年発表の楽曲。軽快なスウィング感とウィットに富んだ言葉遊びで、戦前アメリカのショー・チューン系レパートリーの中でも人気が高く、現在はジャズ・スタンダードとして広く演奏されている。初出はワーナー・ブラザースの映画で、当時のエンタメ産業と密接に結び付いた作品としても知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポはミディアムからアップテンポのスウィングが定番。軽妙なメロディがユーモアを際立たせ、ボーカルでは語り口の表現力やブレイクの間合いが聴かせどころになる。ピアノではストライド・フィーリングからモダンなリハーモナイズまで相性が良く、コンボでもビッグバンドでも映える柔軟性が魅力。歌詞は「ルルが街に戻ってくる」高揚感を描き、身だしなみを整え、悪癖を断ち切るなど、都会的で機知に富んだイメージを連ねるのがポイントだ。

歴史的背景

1930年代のアメリカは映画とポピュラー音楽が強く結び付いた時代。WarrenとDubinは数多くの映画用ソングを手がけ、本曲もその文脈で生まれた。景気回復途上にあって、明るく洒脱なスウィング・ナンバーは観客の気分を軽やかにし、ショー・チューンがジャズ現場へ取り込まれていく流れを後押しした。以降、同曲はピアニストやスキャットに強い歌手たちの格好のレパートリーとして定着していく。

有名な演奏・録音

代表的な名演として、Fats Wallerの1935年録音が挙げられる。快活なテンポと洒脱なアドリブで曲の魅力を決定づけ、以後の解釈の基準となった。またThelonious Monkは1964年の録音で独自のハーモニー感とリズム処理を示し、モダン・ジャズの文脈でも映えることを証明。さらにメル・トーメらボーカリストによる洗練されたアレンジも人気で、コンボ、ビッグバンド双方で多くの録音が残る。

現代における評価と影響

今日では、ジャム・セッションやリサイタルの定番として演奏機会が多く、音大やワークショップでも教材的に扱われることがある。明朗なグルーヴ、語り口の妙、アレンジ耐性の高さが評価され、エンタメ性と音楽的深みを両立するナンバーとして重宝されている。映像作品での具体的な使用履歴は情報不明だが、映画発祥曲としての性格は、舞台・映像の世界での再解釈余地を示し続けている。

まとめ

『Lulu’s Back In Town』は、映画生まれの洒脱なスウィング・チューンがジャズ・スタンダードへと昇華した好例。軽やかなメロディとウィットの効いた歌詞は、時代を超えて奏者の創意を誘う。ピアノ主体のアプローチからモダンなコンボ編成、ボーカルの語り口まで、幅広い解釈に耐える柔軟性が不朽の魅力だ。