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Matchmaker/FIDDLER ON THE ROOF
- 作曲: BOCK JERRY

Matchmaker/FIDDLER ON THE ROOF - 楽譜サンプル
Matchmaker/FIDDLER ON THE ROOF|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Matchmaker, Matchmaker」はJerry Bock作曲、Sheldon Harnick作詞によるミュージカル『Fiddler on the Roof(屋根の上のヴァイオリン弾き)』の一曲。1964年ブロードウェイ初演の第1幕で、主人公テヴィエの三人娘(ツァイテル/ホーデル/ハーヴァ、表記は翻訳により異なる)が歌うアンサンブル・ナンバーとして登場する。三重唱の美しいハーモニーと会話体の掛け合いが特徴で、軽やかなワルツ感を基調に、期待と不安が交錯するドラマを音楽的に描く。キャスト録音や各国プロダクションで広く親しまれ、作品を象徴する楽曲のひとつとなっている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、仲人に理想の相手を「見つけてもらう」ことを夢見る無邪気な憧れから始まる。しかし次第に、嫁入りの現実—経済や家柄、年齢差、相性の問題—を具体的に思い描くにつれ、甘い幻想がほどけ、結婚の重みと不安が前景化していく。軽妙なユーモアの裏で、当時の共同体における慣習と個人の意思のあいだの揺らぎが浮かび上がる構成だ。若さ特有の空想と自己決定への芽生えが並走し、物語全体の主題(伝統と変化のせめぎ合い)をコンパクトに体現している。なお、ここでは歌詞の全文引用は行わず、要点のみを解説している。
歴史的背景
物語の舞台は1905年ごろの帝政ロシア、ユダヤ人の村アナテフカ。縁組は共同体の秩序を支える重要な制度で、仲人の役割は大きかった。本作はショーレム・アレイヘムの短編群を原作に、Joseph Stein台本、Jerry Bock作曲、Sheldon Harnick作詞で創作。1960年代のアメリカ社会が直面した価値観の転換期に、伝統と個人の自由という普遍的テーマをミュージカルの語法で提示し、ブロードウェイにおける文化的代表作となった。
有名な演奏・映画での使用
1964年のオリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音は定番として聴かれ、以後の各国主要プロダクションや再演でも必ず取り上げられてきた。1971年の映画版『屋根の上のヴァイオリン弾き』でも本曲は重要場面で使用され、映像表現により姉妹の心情の揺れがいっそう明確に示されている。学校・地域劇団の上演でも人気が高く、合唱編曲やリサイタル用のアレンジも多数流通している。特定の録音や出演者名に関しては公認資料に基づく確認が必要だが、レパートリーとしての定着度は群を抜く。
現代における評価と影響
「Matchmaker」は、歌詞の明快な語りと三重唱の設計が優れ、ミュージカル教育やオーディションの定番曲としても評価が高い。結婚や家族、文化的慣習と個人の選択というテーマは今日でも普遍性を持ち、上演する時代や地域に応じて新たな意味を喚起する。作品全体の要となる“伝統と変化”の対立軸を短い場面で示す機能性は、後続のミュージカルにおけるアンサンブル曲のモデルにもなっている。
まとめ
「Matchmaker, Matchmaker」は、可憐な三重唱の魅力と社会的テーマの両立に成功した代表的ナンバーである。夢見心地の憧れから現実認識への転調を音楽と台詞的リズムで描き、作品の核心を凝縮する。ミュージカル史における位置づけも確固たるもので、今後も幅広い場で歌い継がれていく。