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Milenberg Joys

  • 作曲: MARES PAUL JOSEPH,MORTON JELLY ROLL,RAPPOLO LEON
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Milenberg Joys - 楽譜サンプル

Milenberg Joys|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Milenberg Joysは、Paul Mares(ポール・メアズ)、Jelly Roll Morton(ジェリー・ロール・モートン)、Leon Roppolo(レオン・ラポロ)の名が作曲者として知られる初期ニューオーリンズ由来のジャズ・スタンダード。主としてインストゥルメンタルで演奏され、歌詞は一般的ではありません(歌詞情報は情報不明)。発表年や初録音の詳細は情報不明ですが、ニューオーリンズ~シカゴ周辺の初期ジャズ・シーンで広まり、ダンス向けのホットなレパートリーとして定着しました。題名の“Milenberg”は、ニューオーリンズの湖畔リゾート地区Milneburg(ミルンバーグ)に由来するとされ、地域色を強く帯びたナンバーとして知られています。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲は、初期ジャズ特有のマルチ・ストレイン(複数楽節)構成をとり、2ビートの推進力と“ストンプ”感が要。コルネット/トランペット、クラリネット、トロンボーンのフロント3管が、集合即興(コレクティブ・インプロヴィゼーション)でポリフォニックに絡み、ピアノ、バンジョー(あるいはギター)、チューバ/ベース、ドラムが躍動的に支えます。ブレイクやストップタイム、短いリフの応酬が随所に配置され、ダンサーを意識した明快なフレーズ運びが魅力。テンポは中速から速めまで幅広く、編成や会場の雰囲気に応じてキーやコーラス数を柔軟に調整する慣習的運用が多いのも特徴です。

歴史的背景

ニューオーリンズの港湾文化とミルンバーグの歓楽地文化は、初期ジャズの形成に大きく寄与しました。Milenberg Joysは、そうした地域的土壌を反映したタイトルとダンス性を持ち、20世紀前半のダンスホールやクラブで重宝されたと伝わります。1920年代、ニューオーリンズの演奏家たちがシカゴに活動の場を広げる流れの中で、本曲もバンドの定番曲としてレパートリー化し、各地のミュージシャンに受け継がれていきました。

有名な演奏・録音

具体的な録音年や初出盤は情報不明ですが、ニューオーリンズ~シカゴ派のアンサンブルが本曲の普及に大きく関与したことは周知です。クラリネットやトランペットのリードを生かしたディキシーランド系の録音が数多く残り、後年のトラッド・ジャズ・リバイバル期にもたびたび取り上げられました。各バンドは楽節の取捨選択やキー設定、ソロ回しの順序を工夫し、ライブの現場で“曲の骨格+即興の妙”を提示してきました。

現代における評価と影響

Milenberg Joysは、初期ジャズのアンサンブル美学とダンス音楽としての躍動を学ぶ上で格好の教材とされ、大学のジャズ講座や市民バンド、ジャム・セッションの現場で今も演奏されます。ニューオーリンズ関連のフェスティバルやトラッド系イベントの定番曲としても親しまれ、録音・映像資料は継続的に更新。現代のプレイヤーは、当時のサウンドを尊重しつつ、テンポ設定やブレイクの配置、コーラス構成に現代的感覚を加えて再解釈しています。

まとめ

地域の記憶を背負ったタイトル、ダンスに根ざした構成、集合即興の醍醐味—Milenberg Joysは、初期ジャズの核心を凝縮したスタンダードです。詳細な初出情報は情報不明ながら、作曲者として名を連ねるMares/Morton/Roppoloの系譜と、ニューオーリンズ~シカゴの文脈の中で磨かれたサウンドは、現在も生演奏の場で力を発揮し続けています。