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My Own True Love/Gone With The Wind

  • 作曲: STEINER MAX
#スタンダードジャズ#映画音楽
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My Own True Love/Gone With The Wind - 楽譜サンプル

「My Own True Love/Gone With The Wind|作品の特徴と歴史」

基本情報

「My Own True Love/Gone With The Wind」は、1939年公開の映画『Gone with the Wind(風と共に去りぬ)』のためにマックス・スタイナーが作曲したスコアの中心的旋律で、一般には「タラのテーマ」として知られます。オーケストラによるインストゥルメンタルが原典で、後年この旋律に歌詞が付けられ「My Own True Love」としても広まりました(作詞:Mack David)。ここで扱うのは映画音楽としての楽曲であり、作曲者クレジットはMax Steiner。映画本編のオープニングやタラ(故郷)を象徴する重要場面で繰り返し用いられ、作品全体の情感を導く核となっています。

音楽的特徴と表現

広い音域をゆったりと弧を描く旋律線が最大の魅力で、厚いストリングスを中心にホルンやハープが陰影を添えます。ロマン派的な和声進行と巧みなダイナミクス設計により、郷愁、気高さ、苦難を乗り越える意志といった多層の感情が一つの主題に凝縮。スタイナーは映画全体にレイトモティーフの手法を張り巡らせ、特にこのテーマは故郷タラやスカーレットの決意と結びつく象徴として機能します。テンポは中庸で、フレーズの呼吸に合わせた緩急が場面の心情とカメラのスケール感を精緻に支えます。

歴史的背景

1939年は“ハリウッド黄金期”の象徴的年。スタイナーは初期トーキー時代から映画音楽の言語を確立した立役者で、本作でも対位法的な主題配置と動機の変奏で超大作のドラマを統合しました。原作の南北戦争期という歴史的スケールに、19世紀的語法を現代映画のテンポ感に適合させる手腕は、後のハリウッド・スコアの標準とも言えるモデルを提示しています。

使用された映画・舞台(該当時)

映画『風と共に去りぬ』において、このテーマはタイトルバック、タラを見つめる印象的なショット、物語の転換点などで効果的に再登場します。静謐な場面では抑制的に、壮麗なショットではオーケストラをフルに鳴らすなど、編成とオーケストレーションを柔軟に変えて映像表現を強化。再公開版やサウンドトラック再編集でも中心モチーフとして継続的に位置づけられてきました。

現代における評価と影響

「タラのテーマ」はハリウッド映画音楽の象徴的メロディとして、現在もコンサート・プログラムや映画音楽コンピレーションで頻繁に取り上げられます。歌詞付きの「My Own True Love」もポピュラー領域で広まり、The Dupreesほか多数のアーティストが録音。イージーリスニング系やポップス編成への編曲も豊富で、映画音楽が大衆文化に浸透する橋渡しとなりました。作曲技法面では、主題の記憶定着力とドラマ駆動力を両立する設計が、後続のフィルムスコア作家に大きな示唆を与えています。

まとめ

「My Own True Love/Gone With The Wind」は、単なる名旋律に留まらず、物語の核と観客の情動を結ぶ機能的デザインを備えた映画音楽の金字塔です。壮麗で覚えやすい主題、柔軟なオーケストレーション、レイトモティーフ運用の妙が結実し、時代を超えて演奏・録音され続ける理由となっています。映画史と音楽史の交差点に立つ、普遍的価値を持つ作品と言えるでしょう。