あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

Sing,Sing,Sing

  • 作曲: PRIMA LOUIS
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Sing,Sing,Sing - 楽譜サンプル

Sing,Sing,Sing|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Sing,Sing,Sing(With a Swing)」は、ルイ・プリマが1936年に作曲したスウィング・ジャズの代表曲。歌詞付きの楽曲として発表されたが、ほどなくビッグバンド編成でのインストゥルメンタル演奏が爆発的な人気を獲得し、現在は“ジャズ標準曲(スタンダード)”として世界中で演奏される。作詞者はルイ・プリマ、原盤や初演の細部については編成やテイクが複数あるため一部情報不明。タイトルが示す通り、踊りと歌を促す陽気なスウィング感が核にあり、ダンスホール文化と密接に結びついた曲として知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴は力強い4ビートに乗ったドラムのトムトム・パターンと、ブラスとリードセクションのリフによるコール&レスポンス。ソロイストのアドリブが次々と展開し、クライマックスに向けてエネルギーを増幅させる設計が典型的だ。ベニー・グッドマン楽団で広まった拡張アレンジでは、長尺のドラム・フィーチャー、クラリネットやトランペットのソロ、他曲モチーフの引用などにより劇的な構成が生まれ、ダンス・チューンの枠を超えたコンサート・ピースとしても定着した。テンポ設定は中速から高速まで幅広く、エンディングは強烈なリフ反復でまとめる版が多い。

歴史的背景

1930年代後半、米国ではスウィング時代が到来し、ラジオ放送とレコード産業、全米ツアーを通じてビッグバンドが大衆的人気を獲得した。「Sing,Sing,Sing」はこの潮流の中心に位置づけられ、ダンスフロアを沸かせる楽曲として広く流通。やがて大規模ホールでの演奏も増え、ジャズがダンス音楽から鑑賞型のコンサート・ミュージックへと拡張していく過程を象徴する存在となった。ベニー・グッドマンのレパートリー入りを機に、曲は国民的ヒットとして知られるようになった。

有名な演奏・録音

決定的な名演として挙げられるのが、ベニー・グッドマン楽団による拡張版で、編曲はジミー・マンディ。躍動的なドラムで知られるジーン・クルーパの存在感、クラリネットのリード、ブラスとサックスの分厚いリフが渦を巻く。1938年のカーネギー・ホール公演収録は長尺ながら緊張感を保ち、歴史的名盤として定評がある。作曲者ルイ・プリマ自身の録音も、歌入りの初期的な魅力を伝える重要資料として評価される。以降、多くのビッグバンドや教育現場のジャズ・アンサンブルで定番曲となり、数え切れない演奏が残されている。

現代における評価と影響

本作はビッグバンドの入門かつ到達点とされ、躍動的なドラム、明快なリフ構造、ソロ回しの設計を学ぶ教材としても重宝される。コンサートやコンペティションでの採用率は高く、観客を即座に巻き込む華やかさは今も健在。メディアやイベントでのBGMとしても親和性が高く、スウィング・ジャズのイメージを代表する“音の記号”として機能している。結果として、ジャズ史教育の文脈でも欠かせない存在となり、世代や地域を超えてレパートリーの中心に居続けている。

まとめ

「Sing,Sing,Sing」は、歌としての明快さと、ビッグバンドのダイナミズムを融合させたスウィング時代の金字塔。プリマの創意と、名アレンジを通じた拡張によって、ダンスホールからコンサートホールまでを制覇した。今日でも演奏効果は抜群で、ジャズの魅力を初めて体感する人にも、演奏者として腕を磨きたい人にも最適な一曲である。