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Something’s Gotta Give

  • 作曲: MERCER JOHN H
#洋楽ポップス
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Something’s Gotta Give - 楽譜サンプル

Something’s Gotta Give|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Something’s Gotta Give はジョニー・マーサー(John H. Mercer)が作詞作曲した楽曲。初出は1955年公開のハリウッド映画『足ながおじさん(Daddy Long Legs)』で、作品内で歌唱・使用されたことを契機に注目を集めた。軽妙な英語の言い回しと覚えやすい旋律が魅力で、その後アメリカン・ソングブックに定着。ジャズ界ではボーカル曲として広く取り上げられ、クラブからコンサートホールまで幅広い場で演奏される定番レパートリーとなっている。

音楽的特徴と演奏スタイル

ミディアム〜アップ気味のスウィング感が似合う軽快なスタンダードで、言葉のリズムを生かしたメロディが特徴。多くの演奏で32小節のソングフォームとして扱われ、ドミナント進行を軸にした明快なコード運びがボーカルとアドリブ双方を支える。歌詞は、拮抗する力がぶつかれば「どちらかが折れる」という機知に富むテーマで、恋の駆け引きをウィットで描く。テンポは中速が定番だが、バラード寄りやラテン風の解釈も行われ、編成もピアノ・トリオからビッグバンドまで応用範囲が広い。

歴史的背景

1950年代は映画音楽とポピュラー・ソングが密接に結びついた時代で、映画に登場した楽曲がラジオやレコード市場でヒットする循環があった。本曲もその典型例で、映画公開を皮切りに多数の歌手が競って録音。作詞家として名高いジョニー・マーサーが自ら作曲まで手がけた点も話題となり、巧みな語感と耳に残る旋律の融合が評価を高めた。こうしてスクリーン発のポピュラー曲が、ジャズの現場に自然と取り込まれていく当時の潮流を象徴する存在になった。

有名な演奏・録音

映画『足ながおじさん』での演唱を出発点に、サミー・デイヴィスJr.、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、メル・トーメらが相次いで録音し、いずれもスタンダード化に貢献した。ジャズ・ボーカルの定番曲であると同時に、スウィング期の美学を現代に伝えるレパートリーとしてビッグバンドにも取り上げられる。近年もシンガーやクロスオーバー系アーティストのアルバムで継続的にカバーされ、ステージ・ショーやテレビ番組の選曲としても親しまれている。

現代における評価と影響

言葉遊びの妙とスイングの推進力が両立するため、英語詞の表現研究やタイム感のトレーニング教材としても重宝される。コード進行が明快で、スキャットやモチーフ展開の練習に適している点も教育現場での支持につながる。また、恋の駆け引きを軽やかに描く世界観は時代を超えて共感を呼び、ライブのセットリストで緩急をつけたい場面に最適。映像作品での二人のダンスや出会いのシーンとも相性が良く、起用例はあるが詳細は情報不明。

まとめ

Something’s Gotta Give は、映画発の名曲がジャズ・スタンダードへと昇華した好例である。ジョニー・マーサーの巧緻なライティング、口ずさみやすい旋律、幅広い編成への適応力が長命の理由だ。ボーカルは言葉の重心とスウィングを、インストはクリアなモチーフ処理を意識すると楽曲の魅力が際立つ。初出映画や時代背景を踏まえつつ、自身のテンポ設定やハーモニーの色づけで個性を出すことが、現代的な解釈の鍵となる。