Somewhere
West Side Story
- 作曲: BERNSTEIN LEONARD

Somewhere - 楽譜サンプル
Somewhere|歌詞の意味と歴史
基本情報
『Somewhere』は、レナード・バーンスタイン作曲、スティーヴン・ソンドハイム作詞によるミュージカル『ウエスト・サイド物語』(1957年初演)のバラード。物語の核心を担う抒情曲で、作品を象徴するスタンダードとして多くの歌手に歌い継がれている。日本では「サムウェア」とも表記される。
歌詞のテーマと意味
対立と暴力に引き裂かれる若者が、偏見のない“どこか”で結ばれる未来を願う内容。慰撫する旋律と静かな祈りの言葉が、許し・和解・希望という普遍のテーマを立体化する。現実の厳しさと理想の間に生まれる緊張を、柔らかなレガートと静謐なハーモニーが支え、観客に深い余韻を残す。
歴史的背景
1950年代ニューヨークの人種・移民コミュニティの緊張を背景に、シェイクスピア『ロミオとジュリエット』を下敷きとした物語として創作。1957年ブロードウェイ初演で注目を集め、その後の世界的成功により楽曲自体も単独で広く知られるようになった。バーンスタインの精緻な和声感とソンドハイムの言葉運びが、社会性とロマンスを同時に支える。
有名な演奏・映画での使用
1961年映画版で印象的に用いられ、2021年のスティーヴン・スピルバーグ版では登場人物ヴァレンティナ(リタ・モレノ)が独唱する設定が話題に。バーブラ・ストライサンドほか多数のカバーが生まれ、オーケストラ用の『シンフォニック・ダンス』でも主題が引用される。舞台・映像・コンサートの各文脈で再解釈が重ねられてきた。
現代における評価と影響
メロディの広い息づかいと透明な和声は、合唱や吹奏楽、クラシック編曲でも親しまれ、ジャンルを越えて演奏される。音域とフレージングの難度は高いが、表現の自由度が大きく、歌手の解釈を引き立てる名素材として評価が定着。教育現場やコンクールのレパートリーにも取り上げられている。
まとめ
『Somewhere』は、「希望の居場所」を提示する普遍的な歌として半世紀以上にわたり響き続けてきた。バーンスタインとソンドハイムの協働が生んだこの静かな祈りは、舞台・映画・コンサートの垣根を越え、時代に応じた新たな意味を帯びながら受け継がれている。