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(Love Is) The Tender Trap
- 作曲: VAN HEUSEN JIMMY

(Love Is) The Tender Trap - 楽譜サンプル
(Love Is)The Tender Trap|楽曲の特徴と歴史
基本情報
(Love Is)The Tender Trapは、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼン、作詞サミー・カーンによる楽曲。1955年公開の映画“The Tender Trap”のために書かれ、同年に世に出た。映画と録音の双方でフランク・シナトラが重要な歌唱を残しており、作品は以後ジャズ/ポピュラーの定番曲として広く演奏されるようになった。恋愛をテーマにした洗練された歌詞と、耳に残る軽快なメロディの組み合わせが特徴で、ステージやレコーディングで取り上げられる機会が多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
本曲は中庸のテンポでスウィング感を活かしたヴォーカル曲として親しまれている。明快なフレーズ運びとリズミックなアクセントにより、歌詞の語り口が引き立つ構造で、ビッグバンドから小編成まで相性が良い。ヴォーカリストは言葉のニュアンスを活かしつつ、軽やかなスキャットやアドリブ・フェイクを織り込む解釈も行われる。伴奏では、リズム・セクションの躍動感とホーンの合いの手が楽曲の推進力を支え、終盤に向けて高揚する展開が定番となっている。
歴史的背景
ヴァン・ヒューゼンとカーンはハリウッドで数多くの名曲を生み、特にシナトラとの協働で知られる。本曲は映画“The Tender Trap”の主題歌として書かれ、時代の気分に合致した都会的で機知に富む作風が評価された。1955年の公開後、楽曲は注目を集め、アカデミー賞歌曲賞にノミネートされている。映画音楽とポピュラー・ソングの相互作用が強かった時代の代表例として、スクリーン発のスタンダード化プロセスを体現する作品と言える。
有名な演奏・録音
最もよく知られるのはフランク・シナトラの1955年の録音で、キャピトル・レコード期の代表的レパートリーの一つとして語られる。映画内でもシナトラが歌唱し、作品と楽曲の結びつきを強めた。編曲者に関してはネルソン・リドルによる名編の印象が強いが、詳細なクレジットは版によって異なる可能性がある。デビー・レイノルズも映画で取り上げており、その後も多くの歌手・ジャズ・コンボがレパートリーに加えている。個別の代表録音の網羅リストは情報不明。
現代における評価と影響
現在、本曲はグレイト・アメリカン・ソングブック系のジャズ・スタンダードとして定着。クラブやコンサート、カバレイの場でも定番で、教育現場のレパートリーとして扱われることも多い。恋の甘さと気まぐれを軽妙に描くテーマは時代を超えて共感を呼び、テンポやキーの調整が容易な構成はシンガーにとって取り組みやすい。映画発の人気曲が独立したスタンダードへと成長する典型例として、今日も演奏機会が絶えない。
まとめ
(Love Is)The Tender Trapは、1955年の映画由来という確かな出自、シナトラによる印象的な歌唱、そしてヴァン・ヒューゼンとカーンの職人的な筆致によって、時代を超えて愛されるスタンダードとなった。軽快で洗練された作風は、幅広い編成と解釈を受け入れ、ジャズ/ポップ双方の現場で生命力を保ち続けている。