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First Song (for Ruth)

  • 作曲: HADEN CHARLIE
#スタンダードジャズ
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First Song (for Ruth) - 楽譜サンプル

First Song (for Ruth)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

First Song (for Ruth) は、ジャズ・ベーシスト兼作曲家チャーリー・ヘイデンによるインストゥルメンタルのバラード。タイトルが示す通り、彼の妻でシンガー/プロデューサーのルース・キャメロンに捧げられた楽曲で、私的で親密な情感をたたえたメロディが核となる。歌詞は存在せず、様々な編成で演奏されるが、特に少人数編成のデュオやトリオでの解釈がよく知られている。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポと息の長い旋律線、間合いを重視するフレージングが特徴。和声は過度に複雑化せず、サスペンションや柔らかな転調感で色彩を与える。演奏ではルバートや自由なテンポの導入が好まれ、音価の伸びと余白が曲想を決定づける。ベースはシンプルな根音支持からカウンターメロディまで幅広く担い、ギターやピアノは透徹したヴォイシングで旋律を包む。ダイナミクスは弱音域が中心で、サステインと余韻、そして沈黙の使い方が解釈の要となる。結果として、語りかけるようなリリシズムと、ヘイデンらしい温かい響きが前面に出る。

歴史的背景

本曲はヘイデンが家族や愛する人へ捧げた楽曲群の系譜に位置し、同じく献辞を持つ作品と並んで作曲家としての抒情性を象徴する存在となった。1990年代の録音を通じて広く知られるようになり、以降は現代ジャズにおける定番バラードとして定着。作曲者の美学である「シンプルな旋律と深い感情の共鳴」が、時代を超えて受け入れられる契機となった。初演時期や初出アルバムの厳密な特定は情報不明だが、発表後は継続的に演奏されている。

有名な演奏・録音

代表的な録音として、チャーリー・ヘイデンとパット・メセニーのデュオによる演奏が広く知られる。デュオ編成がもたらす親密な対話性は、本曲の静謐さと情感を際立たせ、ヘイデン作品の入門にも適している。その他にも少人数コンボやソロ・ピアノ編成など多様な形態で録音例が存在するが、網羅的なディスコグラフィは情報不明。いずれの解釈でも、旋律を「歌う」ことと空間の取り方が評価の鍵となっている。

現代における評価と影響

First Song (for Ruth) は、リハーモナイズやアドリブよりも音色・間・歌心の探究に重心を置く教材曲としても重宝され、ジャズ教育やリサイタルでの採用例が多い。過度な技巧を避けつつ深い表現に到達できる点が演奏者・聴衆双方に支持され、ヘイデンの作曲美学を象徴する「現代スタンダード」として地位を確立している。商業用途や映像作品での使用の詳細は情報不明だが、音楽家のレパートリーとしての生命力は揺るぎない。

まとめ

静けさの中に情熱を宿す本曲は、チャーリー・ヘイデンの抒情性を凝縮した名作。シンプルな旋律と豊かな余白が解釈の幅を広げ、時代や編成を超えて愛奏され続けている。