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The Trolley Song
- 作曲: BLANE RALPH,MARTIN HUGH

The Trolley Song - 楽譜サンプル
The Trolley Song|歌詞の意味と歴史
基本情報
『The Trolley Song』は、Hugh MartinとRalph Blaneが作詞作曲し、1944年のMGM映画『Meet Me in St. Louis』でジュディ・ガーランドが初演したポピュラー・ソング。路面電車を舞台にした場面で歌われ、映画ミュージカルを象徴するナンバーとして知られる。高揚感のあるテンポと、場面の情景に呼応するオーケストレーションが特徴で、映画公開とともに広く親しまれ、単独曲としても定着した。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、路面電車に乗り合わせた相手に恋心が芽生える瞬間を、車輪のリズムやベルの響きに重ねて描く。都市のざわめきと高鳴る鼓動がシンクロし、恋のときめきが加速していく感覚を生き生きと表現。擬音と反復を巧みに用い、聴き手に鮮やかな情景を喚起する。主人公の視点は一貫してポジティブで、偶然から生まれる出会いの喜び、そして群衆のエネルギーに包まれる幸福感が核となっている。
歴史的背景
公開当時は第二次世界大戦下。作品全体は20世紀初頭の米国中西部へのノスタルジーを基調にし、安心と希望を届ける娯楽として支持を得た。MGMミュージカル黄金期の制作文脈にあり、家庭的で温かい世界観の中で本曲が軽快な推進力を担う。映画の時間軸と街の記憶が重なり、過去への憧憬と現在の活力を接続する役割を果たした点が、曲の普遍性を高めている。
有名な演奏・映画での使用
映画では走行中のトロリー車内で群衆と共に展開するシーンが名高く、ダイナミックなカメラ運びと合唱が高揚感を生む。本曲はアカデミー賞歌曲賞にノミネートされ、その後も多くの歌手やビッグバンド、ジャズ編成によりカバーされ続けている。映画音楽の名唱としてのガーランド版を起点に、コンサート、テレビ特番、舞台のトリビュートなどで再解釈が重ねられてきた。
現代における評価と影響
古典的ミュージカルの代表曲として、コンサートやリバイバル上演の定番。明快なメロディと疾走感のあるリズムは、編曲の自由度が高く、合唱・吹奏楽・ジャズいずれのフィールドでも親しまれる。日常の移動という身近な場面をロマンへ昇華した物語性は、映像と音楽の相互作用の好例として語られ、映画音楽とポピュラーの架け橋的存在として評価が定着した。
まとめ
映画発のポップ・ソングでありながら、都市の恋の瞬間を普遍的な高揚として描いた名曲。軽快さとドラマ性を両立し、世代や編成を越えて歌い継がれている。作家コンビの職人技とガーランドの表現力が結晶した、時代を超えるスタンダードである。