あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Five Spot After Dark

  • 作曲: GOLSON BENNY
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Five Spot After Dark - 楽譜サンプル

Five Spot After Dark|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Five Spot After Darkは、サックス奏者・作曲家ベニー・ゴルソンによるジャズ・スタンダード。インストゥルメンタル作品で歌詞は存在しません。形式は12小節ブルースを基盤としたハードバップのナンバーで、セッションでも取り上げやすい明快な構造を持ちます。タイトルはニューヨークの老舗クラブを想起させますが、命名の由来は情報不明。軽妙なテーマと堅牢なブルース進行が両立し、即興とアンサンブルの魅力を端的に示す一曲です。

音楽的特徴と演奏スタイル

基本はミディアム〜ミディアム・アップのスウィング。リフを核にしたテーマはホーンのユニゾン/ハーモニーで映え、コール&レスポンスやストップタイムを交えたアレンジにも適応します。12小節の枠内でII–V系の置き換えやターンアラウンドを活用し、各ソロがブルースの語彙を展開しやすいのが特長。イントロはシンプルなカウントオフや短いリフ導入、エンディングはフェルマータ付きのタグやリットでまとむ例が一般的。トロンボーンとテナーが前面に立つ編成で特に映える一方、ピアノ・トリオでも成立する汎用性を持ちます。

歴史的背景

1950年代後半、ハードバップはブルースやゴスペルの語法を洗練させつつ発展し、ゴルソンは作編曲家として数々の名曲を世に送り出しました。本作もその文脈に位置づけられ、都会的な洗練とクラブ現場の熱気を兼ね備えたレパートリーとして受け入れられます。技巧に偏らず、メロディとグルーヴで聴かせる設計が、当時のジャズ・コンボの美学を象徴しています。

有名な演奏・録音

初期の代表的録音として広く知られるのが、カーティス・フラーのアルバム『Blues-ette』(1959)収録のテイク。端正なアンサンブルと余裕あるテンポ設定で、楽曲の魅力を明快に描き出しています。さらに、ブルー・ミッチェルの『Blue Soul』(1959)でも取り上げられ、ブラスの鳴りとソロ・ワークの両面からブルース感を強調した解釈が聴けます。このほか多くのジャズ・ミュージシャンが録音・演奏しており、コンボ編成での定番曲としてレパートリーに定着しています。

現代における評価と影響

今日では、ジャム・セッションや学生ビッグバンド/小編成アンサンブルの教材でも扱われることがある実用的レパートリーです。ブルースの語彙を整理しながら表現力を磨けるため、即興学習の入口としても有効。録音を跨いだ多様なテンポやアレンジの幅は、スタンダードに求められる柔軟性を体現しており、世代や編成を問わず演奏され続けています。

まとめ

Five Spot After Darkは、簡潔な12小節ブルースに洗練を宿したハードバップの佳曲。覚えやすいテーマ、ソロが乗る堅牢な進行、アンサンブルで映える設計という三拍子が、半世紀以上にわたり愛奏される理由です。名演に学びつつ、自分のテンポ感とサウンドで解釈を更新することで、スタンダードとしての生命力がさらに引き出されるでしょう。