あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Four Brothers

  • 作曲: GIUFFRE JIMMY
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Four Brothers - 楽譜サンプル

Four Brothers|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Four Brothers は、ジミー・ジュフリーが1947年に作曲し、ウッディ・ハーマン楽団(いわゆる“セカンド・ハード”)のために書かれたジャズ曲。オリジナルはサックス・セクションを前面に出したインストゥルメンタルで、のちにジョン・ヘンドリックスが歌詞を付けたヴォーカリーズ版でも知られる。バンドの看板曲として広く浸透し、今日ではスタンダードとして扱われている。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴は、テナー3本+バリトンというサックス4本による緊密なハーモニー。レスター・ヤング系のクールな音色と、レガート主体のフレージング、軽快なスウィング感が要。メロディは線的で、ユニゾンから和声に展開する書法が多用される。ソロはテナーやバリトンが受け持つことが多く、セクションの精密なブレンドが求められる。シンプルな表面感に反してアンサンブルの難度は高く、音程・タイム・アーティキュレーションの統一が鍵となる。

歴史的背景

第二次世界大戦後のビッグバンド再編期、ハーマン楽団はサックス陣の充実で“フォー・ブラザーズ”と称された(スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、ハービー・スチュワード、サージ・チャロフ)。ジュフリーのこの曲は、その看板セクションを際立たせる目的で書かれ、1947年の録音を機にバンドの代名詞となった。過剰なブラスの咆哮よりも線的な書法に重心を置くスタイルは、のちのクール・ジャズの美学を先取りした例としてもしばしば言及される。

有名な演奏・録音

最初の決定的録音はウッディ・ハーマン楽団の1947年盤。以後、歴代ハーマン楽団でたびたび再演され、スタン・ゲッツやズート・シムズのリーダー作でも取り上げられた。さらに、ジョン・ヘンドリックスの詞を用いた Lambert, Hendricks & Ross のヴォーカリーズ版は、器楽曲としての魅力を損なわずに旋律の妙味を言葉で可視化した代表例として知られる。現代でも多くのビッグバンドや小編成がこの曲をレパートリーに含めている。

現代における評価と影響

現在もビッグバンドやコンボの定番レパートリーで、サックス・セクションの精度、音色の統一、タイムの良さを示す格好の教材となっている。編曲版も多く、学生バンドからプロの大編成まで幅広く演奏されるほか、配信時代においても再生され続け、世代を超えて評価を獲得。クールで洗練されたアンサンブルの規範として、アレンジ研究やセクション練習の指標となる地位を保っている。

まとめ

Four Brothers は、サックス・セクションの美学を極めた書法と軽快なスウィングを併せ持つ逸品。オリジナルのインストからヴォーカリーズ版まで幅広い形で親しまれ、バンド・サウンドの魅力と作編曲の妙を同時に味わえる。ジャズ史と実践の両面で価値を持つ、揺るぎないジャズ・スタンダードである。