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Don't Let The Sun Catch You Cryin'
- 作曲: GREENE JOE

Don't Let The Sun Catch You Cryin' - 楽譜サンプル
Don't Let The Sun Catch You Cryin' |楽曲の特徴と歴史
基本情報
Don't Let The Sun Catch You Cryin' は、作曲者にJoe Greene(ジョー・グリーン)がクレジットされるヴォーカル向けのスタンダード。原詞の詳細や初出年は情報不明だが、ジャズとR&Bの両領域で長く歌い継がれてきた。なお、本曲と題名がよく似たGerry & The Pacemakersの1964年のヒット曲は別作品であり、作家も内容も異なる。混同を避けるため、ジョー・グリーン作のスタンダードとして区別して語られることが多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
一般にスローからミディアムのテンポで演奏され、ブルース由来の語法を湛えたメロディが特徴。ヴォーカルはためを効かせたフレージングやダイナミクスの対比が映え、ホーン・セクションとのコール&レスポンス的なアレンジとも相性が良い。ピアノやギターはシンプルなコンピングで間合いを支え、ソロは過度に技巧へ走らず歌心を重視する解釈が定番となっている。
歴史的背景
本曲はジャズとR&Bが濃密に交差した時期に広まり、クラブやダンスホールの実演現場で息長く演奏された。ジャンプ・ブルースのエネルギーとジャズ・バラードの叙情が同居する性格が受け入れられ、歌手の表現力を引き出すレパートリーとして重宝された。出版年や初演に関する一次情報は情報不明だが、のちに数多くの歌手・バンドが取り上げ、標準曲として定着していく。
有名な演奏・録音
Louis Jordanが取り上げたことで広く知られるようになり、Ray Charlesもアルバムで名唱を残している(収録アルバム名・年は情報不明)。これらはR&Bの感触とジャズの洗練を兼備した解釈として評価が高い。ほかにも多くのジャズ/R&B系ヴォーカリストが録音しているが、網羅的なディスコグラフィは情報不明。いずれも歌の情感とバンドの呼吸を重視したアレンジが主流である。
現代における評価と影響
今日でもヴォーカル・ジャズのセットに自然に溶け込む定番で、クラブや小編成のライブで取り上げられる機会が多い。ブルースの哀感を軸にしつつ過度な劇性に頼らない構造のため、歌手の個性を際立たせやすい点が支持される理由だ。同名異曲が存在するため紹介時に出典確認が推奨されるが、ジョー・グリーン作の名曲としての地位は揺らいでいない。
まとめ
Don't Let The Sun Catch You Cryin' は、ブルースの滋味とジャズの表現力が結晶したスタンダードである。楽器編成やテンポを選ばず、歌い手の解釈で陰影が大きく変わる懐の深さが魅力だ。作詞者・初出年など一部情報は情報不明ながら、歴史的録音と現代のライブ現場の双方で命脈を保ち続ける、普遍性の高いレパートリーと言える。