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Gone With The Wind
- 作曲: MAGIDSON HERBERT, WRUBEL ALLIE

Gone With The Wind - 楽譜サンプル
Gone With The Wind|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1937年に発表された「Gone With The Wind」は、作曲アリー・ルーブル、作詞ハーブ・マジッドソンによるポピュラー曲。歌詞を備えた楽曲だが、ジャズ・スタンダードとして定着し、ボーカル/インストの双方で演奏される。形式は32小節のAABAが一般的。原調は演者により様々で、移調して演奏されることが多い。タイトルから映画『風と共に去りぬ』を想起しがちだが、映画とは別個の楽曲である。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなバラードからミディアム・スウィングまで幅広いテンポで親しまれる。旋律は滑らかなレガートラインとしなやかな跳躍が共存し、内声の動きを活かしたハーモニー進行が魅力。ジャズ演奏ではii–V–Iやセカンダリードミナントを用いたリハーモナイズがよく見られ、ボーカルはルバート導入から拍へ収束する構成も定番。ソロはメロディの歌心を尊重しつつ、ブリッジで展開をつける解釈が好まれる。
歴史的背景
本作は1937年のポピュラー・ソングとして誕生し、スウィング時代に各地で取り上げられた。しばしば1939年の映画『風と共に去りぬ』と混同されるが、本曲は映画とは直接の関係がない(映画音楽はマックス・スタイナー)。出版後まもなくジャズ界で広まり、歌と器楽の両面で標準的レパートリーとなった。放送やダンスホールの需要も追い風となり、世代を超えて演奏が継承されている。
有名な演奏・録音
代表的な録音としては、ビリー・ホリデイによる1937年の録音がよく知られる。以降、エラ・フィッツジェラルドなど多くの名歌手やジャズ・ミュージシャンがレパートリーに加え、バラード解釈やスウィング解釈、ピアノ・トリオやサクソフォンの抒情的インスト版など多彩なアプローチが残されている。個別のチャート成績や詳細な年表は情報不明。
現代における評価と影響
今日でもセッションやリサイタルで頻出する定番曲で、ボーカリストの表現力やフレージング、管楽器の歌心を磨く教材としても重宝される。歌詞は儚い別離と心情の変化をたとえで描き、解釈の幅が広い点も人気の理由。教育現場やフェイクブックにも収載され、編曲の自由度が高いことから、モダンなリハーモナイズや異拍感の実験にもよく用いられる。
まとめ
「Gone With The Wind」は歌詞付きのポピュラー曲として生まれ、ジャズ・スタンダードとして成熟した一曲。簡潔なAABA形式と柔軟なテンポ設計が多様な解釈を可能にし、録音史でも存在感を示してきた。映画との混同に留意しつつ、旋律の歌心と和声の美点を活かした演奏が、今後も多くの場で聴かれるだろう。