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It's Not For Me To Say

  • 作曲: ALLEN ROBERT,STILLMAN AL
#スタンダードジャズ
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It's Not For Me To Say - 楽譜サンプル

It's Not For Me To Say |歌詞の意味と歴史

基本情報

『It's Not For Me To Say』は、1957年に発表されたポップ・バラード。作曲はロバート・アレン、作詞はアル・スティルマン。最もよく知られる録音はジョニー・マティスによるシングルで、映画『Lizzie』(1957)劇中で彼が歌う場面でも知られる。繊細なメロディと流麗なストリングスが特徴で、以後スタンダードとして多くの歌手に取り上げられてきた。原題や初演年は確定しているが、初出盤の細部仕様や正式な初出キーは録音により異なり情報不明。

歌詞のテーマと意味

タイトルが示す通り、「それを決めるのは私ではない」という慎み深い視点で、恋の行方を断定せず、運命や時間に委ねる態度が核となる。相手への敬意を保ちながら、抑制された言葉で想いを告げる内容は、所有や独占を強調しない成熟した愛の表現として響く。上昇する旋律線と溜めのあるフレージングが、胸の高鳴りとためらいを描写し、聴き手に余韻を残す構成が魅力だ。

歴史的背景

1950年代後半はクローナー系シンガーが活躍し、映画とラジオを媒介に叙情的バラードが広く浸透した時代。アレン&スティルマンは同時期に「Chances Are」でも成功し、洗練された和声運びと口ずさみやすい旋律で評価を確立した。本曲もその系譜に位置づけられ、映画との結びつきが話題喚起に寄与した。チャート成績の詳細数値は情報不明だが、当時の空気感を象徴するレパートリーとして長く親しまれている。

有名な演奏・映画での使用

決定的な解釈はジョニー・マティスの録音。柔らかなビブラート、長いサステイン、節度あるダイナミクスが曲のニュアンスを規定し、その後の歌い方の参照点となった。オリジナルの映画使用は『Lizzie』(1957)での劇中歌としての披露が確認される。後年も映画やドラマのロマンティックな場面で用いられることは多いが、個別の作品名や年は情報不明。

現代における評価と影響

トラディショナル・ポップの名曲として、フル・オーケストラからジャズ・コンボまで幅広い編成で歌い継がれている。結婚式やアニバーサリーの選曲としても定番化し、世代を超えて受容される。過度な技巧を求めず、間合いと発音の美しさで表情が決まるため、歌手にとって表現力を試す教材としても重宝されている。サブスク時代でも再生され続ける持続的な人気を持つ。

まとめ

『It's Not For Me To Say』は、控えめな言葉遣いと豊かなメロディで愛を描く普遍的なバラード。映画を起点に広まり、ラジオやコンサートで支持を得てスタンダード化した。誇張に頼らない情感の伝達が時代を越えて効力を持ち、今日でも最良のラブソングの一つとして多くのリスナーに受け入れられている。