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Joint Is Jumpin' (The)

  • 作曲: JOHNSON J C,WALLER THOMAS FATS
#スタンダードジャズ
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Joint Is Jumpin' (The) - 楽譜サンプル

Joint Is Jumpin' (The) |楽曲の特徴と歴史

基本情報

「The Joint Is Jumpin’」は、Thomas “Fats” WallerとJ. C. Johnsonが作曲、Andy Razafが作詞した1937年の楽曲。初演・初録音はFats Waller & His Rhythmによる商業録音が広く知られる。スウィング期に生まれ、現在はジャズ・スタンダードとして扱われる。原題の語感どおり、賑やかな社交場の熱気を描く歌詞を備えたヴォーカル曲であり、ピアノを中心とする小編成コンボでの演奏が定番。正式出版年は1937年で、クレジットはWaller/Johnson/Razafで一致する。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポは中速〜速めのスウィング。ストライド・ピアノ由来の力強い左手と、シンコペーション豊かな右手のリックが推進力を生む。イントロやブレイクでの掛け合い、シャウト風の合いの手など、ステージでの躍動感を前提にした書法が目立つ。ホーン・セクションが加わる編成では、コール&レスポンスでヴォーカルと楽器が互いを煽り、短いソロを回す構成が親しまれている。キーや形式は版により異同があるものの、スウィング期の標準的なソング・フォームに則り、ダンス可能なグルーヴを途切れさせないアレンジが要点。

歴史的背景

1930年代ハーレムのナイトライフや“レント・パーティー”文化が背景にある。“Joint”は店・集会所を指す俗語で、“Jumpin’”は大いに盛り上がっている状態を意味する。禁酒法後に拡大したクラブ/バーの娯楽空間と黒人コミュニティの社交が、楽曲のユーモアとエネルギーに結晶している。Waller、Johnson、Razafの三者は当時ニューヨークで活発に共作し、都会のスラングを巧みに取り込んだ歌世界を構築した。

有名な演奏・録音

代表例はFats Waller & His Rhythmによる1937年録音。のちにWaller作品を集めたブロードウェイ・レヴュー『Ain’t Misbehavin’』(1978)でも重要曲として取り上げられ、キャスト録音で広く再認識された。映像資料としてWallerの演奏を収めた短編やニュースリールが伝わるが、個々の制作年・配給の詳細は情報不明。現在もスウィング系コンボやピアニストのレパートリーとして録音例は多い。

現代における評価と影響

スウィング〜ストライドの語法を学ぶ教材曲として定着し、ジャム・セッションやダンス・イベントでも頻出。派手なブレイク、合いの手、観客参加型の盛り上げが作りやすく、ライブで映えるナンバーとして重宝される。英語圏のポピュラー文化ではタイトルのフレーズ自体が「場が沸いている」の定型表現として生き続け、ジャズのイメージ喚起語としての影響も大きい。

まとめ

「The Joint Is Jumpin’」は、1937年の空気を閉じ込めたスウィング・アンセム。機知に富む歌詞と跳ねるビート、観客を巻き込む演出力が三位一体となり、今日までジャズ・スタンダードとして息長く演奏されている。原典のFats Waller版を起点に、編成やテンポを変えても魅力が失われない普遍性こそ、この曲の最大の価値だ。