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Oh! What It Seemed To Be

  • 作曲: BENJAMIN BENNIE,CARLE FRANKIE,WEISS GEORGE DAVID
#スタンダードジャズ
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Oh! What It Seemed To Be - 楽譜サンプル

Oh! What It Seemed To Be |歌詞の意味と歴史

基本情報

「Oh! What It Seemed To Be」は、Bennie BenjaminとGeorge David Weissが詞、ピアニストのFrankie Carle(フランキー・カール)が曲に携わり、1945年に発表されたポップ・バラード。柔らかな旋律とロマンティックな語り口で戦後のリスナーに広く親しまれた。英語詞の楽曲であり、現在も“ポップ・スタンダード”として歌い継がれる代表曲の一つとされる。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、かつての特別な夜を回想し、その一瞬がどれほど輝かしく感じられたかを静かに語る内容。時間の経過によって思い出がより甘美に、あるいはほろ苦く変容していく感覚を描き、現実と記憶のあわいにある“あの時はそう見えた(感じられた)”という余韻を残す。具体的な物語よりも感情の温度と情景のニュアンスが中心で、ダンスホールの灯りや夜の空気を想起させる表現が印象的だ。

歴史的背景

第二次世界大戦直後のアメリカでは、喪失からの回復と日常への回帰が社会的テーマとなった。本曲はその空気の中で、ノスタルジアと希望を同時に抱く感情を穏やかなメロディに託した点が時代感覚に合致。スウィング期の終盤からポップ・ヴォーカル全盛への橋渡し役としても位置づけられ、ビッグバンド伴奏から小編成のバッキングまで幅広いアレンジで演奏された。

有名な演奏・映画での使用

初期の代表的録音として、Frankie Carle楽団がヴォーカルにMarjorie Hughesを迎えたバージョンが知られる。さらにFrank Sinatraによる録音は広く普及し、戦後のポピュラー歌手にとっての重要レパートリーとなった。ほかにも多くの歌手・楽団が取り上げているが、映画での明確な使用情報は情報不明。楽曲の普遍性が、世代を超えて解釈の幅を生み出している。

現代における評価と影響

今日では、往年のアメリカン・ソングブックを扱うコンサートや、スタンダードを得意とする歌手のアルバムで定期的に再演される。過度な技巧を要さず、言葉の運びとフレージングで情感を伝えるタイプの曲であるため、ヴォーカル表現の教材としても好まれる傾向にある。英語圏のみならず、世界各地でカバー対象となる普遍性も評価点だ。

まとめ

「Oh! What It Seemed To Be」は、戦後の希望と回想をやさしく包むポップ・バラード。簡素な構成の中に、記憶がもつ魔法のような煌めきを宿し、時代を超えて愛されてきた。作者陣の職人技が光る名曲として、今後も歌い継がれていくだろう。