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Once Upon A Summertime

  • 作曲: LEGRAND MICHEL JEAN,BARCLAY EDDIE
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#ムードミュージック
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Once Upon A Summertime - 楽譜サンプル

Once Upon A Summertime |楽曲の特徴と歴史

基本情報

Once Upon A Summertime は、ミシェル・ルグラン作曲の「La valse des lilas(菩提樹のワルツ)」を原曲とする楽曲で、英語詞が付与されてジャズ・レパートリーとして広く定着した曲です。作詞については、仏語詞がエディ・マルネ、英語詞がジョニー・マーサーとされ、クレジットにエディ・バークレイ名が見られる場合があります。初出年や正式な初演情報は情報不明。ワルツの拍感と洒脱な和声進行が特長で、ヴォーカル曲としてもしばしば演奏される一方、インストでも定番化しています。

音楽的特徴と演奏スタイル

3/4拍子の抒情的バラードで、ルグラン特有の転調とクロマティックな和声が、淡い郷愁とほろ苦さを同居させます。メロディは跳躍と滑らかな順次進行が巧みに交錯し、歌唱ではレガートの息遣いと繊細なダイナミクスが肝要。ジャズではルバート気味のイントロからワルツへ着地する構成、あるいは倍テンポの中間部で陰影をつける手法が一般的。インストではピアノ・トリオによる内省的なヴォイシング、サックスやフリューゲルホーンによる柔らかな音色選択が映えます。

歴史的背景

1950年代のパリで育まれたシャンソン的感性と、後年アメリカでの英語詞化を経たジャズ化という二重の文脈を持ちます。作曲者ルグランは映画音楽でも名高い存在ですが、この曲はスクリーン由来ではなく、歌曲として独立に広まりました。フランスの旋律美を保ちつつ、アメリカン・ソングブック的なハーモニー運用に馴染むため、クラブやレコーディング現場で自然に受容され、ジャズ・スタンダードの地位を確立していきました。

有名な演奏・録音

ヴォーカルではブロッサム・ディアリーによる気品ある歌唱が広く知られ、バーブラ・ストライサンドやサラ・ヴォーンらの録音も評価が高い部類に入ります。インストではビル・エヴァンス・トリオの端正で内省的なアプローチが代表的で、ピアノ・トリオの重要レパートリーとして定着。ほかにも多くのジャズ歌手・器楽奏者が取り上げ、編曲の幅広さとメロディの普遍性を示してきました。特定の初出や決定的な初演音源は情報不明です。

現代における評価と影響

今日でもワルツ・バラードの定番として、ジャム・セッションからコンサート・ホールまで幅広く演奏されています。高度な和声を含みつつ旋律線が明快なため、教育現場でも「歌えるハーモニー教材」として重宝され、アレンジャーはテンポの伸縮やリハーモナイズで新機軸を提案しやすい楽曲です。配信時代においてもカバーが継続的に生まれ、世代や言語を越えたバラードとして再評価が進んでいます。

まとめ

Once Upon A Summertime は、フランス発の気品とアメリカのジャズ感性が溶け合ったワルツ・バラードです。叙情豊かなメロディと精巧な和声が演奏者の表現力を引き出し、歌とインストの両面で長く愛されてきました。成立年など一部は情報不明ながら、数多の名演が証明するように、時代と国境を越えて共感を呼び続けるスタンダードと言えるでしょう。