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Out To Lunch

  • 作曲: DOLPHY ERIC
#スタンダードジャズ
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Out To Lunch - 楽譜サンプル

Out To Lunch |楽曲の特徴と歴史

基本情報

エリック・ドルフィー作曲。初出はブルーノートからのアルバム『Out to Lunch!』(1964年録音・発売)に収められた同名曲。器楽曲であり歌詞は存在しない。楽曲の調性、拍子、作曲年の詳細、曲中での作曲者の持ち替え楽器は情報不明。代表的録音の参加者はフレディ・ハバード(トランペット)、ボビー・ハッチャーソン(ヴィブラフォン)、リチャード・デイヴィス(ベース)、トニー・ウィリアムズ(ドラムス)。録音はヴァン・ゲルダー・スタジオ。

音楽的特徴と演奏スタイル

典型的な旋律美に加え、休符の切り返しやアクセントの前後倒しによる推進力、広い跳躍音程、無調志向の和声処理が特色。リズム・セクションは固定パターンに寄りかからず、各声部が応答し合う集団即興で構図を変容させる。ヴィブラフォンの透明な残響とベースの鋭いアタックが音場に空隙を生み、管のフレーズを立体的に際立たせる。拍子やキーは録音・解釈によって異同が出うるため詳細は情報不明だが、テーマと即興の往還が構造の核にある。

歴史的背景

1964年2月、ニュージャージー州エングルウッド・クリフスのヴァン・ゲルダー・スタジオで録音。同年6月にドルフィーがベルリンで急逝したため、本作は生前最晩年の創作態度を伝える記録となった。モード以後のポスト・バップとフリー・ジャズの狭間で、作曲的骨格と自由即興を高密度に接続した設計は、当時のブルーノート作品としても先駆的。若きトニー・ウィリアムズの斬新なドラミングや、ハッチャーソンの響きの運用も時代の最先端を示す。

有名な演奏・録音

有名録音としては、エリック・ドルフィー『Out to Lunch!』(Blue Note/1964)が基準点となる。編成は管2+ヴィブラフォン+ベース+ドラムス(曲ごとの持ち替えや配分の詳細は情報不明)。このオリジナル以外の再演・カヴァー、映画等での使用履歴についての体系的情報は情報不明。資料を当たる際はクレジットと年代を確認し、アルバム全体の解釈と当該曲の扱いを区別するのが有効だ。

現代における評価と影響

アルバム全体が先鋭的ブルーノートの象徴として広く言及され、同名曲もその中核を成す一篇として位置づけられてきた。作曲と即興の境界を拡張する設計、パート間の独立性を強めたアンサンブル観、管とヴィブラフォンの組み合わせは、後続の作曲・編曲・演奏美学に影響を及ぼしたと評価される。研究・批評の文脈でも、フォーム設計や対位的書法の実例として取り上げられてきた。

まとめ

『Out To Lunch』は、強固な作曲的骨格と高度な即興自由度を両立させ、1960年代ジャズの革新を体現した器楽曲である。細部の仕様に情報不明な点は残るものの、オリジナル録音に刻まれた相互作用の鋭さは現在も瑞々しい。鑑賞の第一歩としては、1964年の公式録音を通して聴き、テーマ提示、アンサンブルの間合い、ソロの展開、終結部の収束を俯瞰し全体設計を掴むのが有益だ。