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Hackensack

  • 作曲: MONK THELONIOUS S
#スタンダードジャズ
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Hackensack - 楽譜サンプル

Hackensack|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Hackensack」はMONK THELONIOUS S(セロニアス・モンク)によるインストゥルメンタルのジャズ・スタンダード。歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。初出年や初録音の詳細は情報不明だが、モンク作品の中でもセッションで頻繁に演奏される定番曲として位置づけられている。曲名は米ニュージャージー州ハッケンサックに由来するとされ、コンボ編成(トリオ〜クインテット)での演奏が一般的である。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式はAABAの32小節。多くの資料で、ガーシュウィン作「Oh, Lady Be Good!」のコード進行に基づくコントラファクトとされる。メロディはモンクらしい鋭角的な跳躍と半音階的アプローチが交錯し、裏拍のアクセントや意図的な和声音の濁りが独特のスイング感を生む。テンポはミディアム・アップで演奏されることが多く、ヘッド—ソロ—ヘッドの構成が定番。ピアノは軽く硬質なコンピングで間合いを活かし、管楽器は短いフレーズの呼応で推進力を作ると効果的だ。

歴史的背景

ビバップからハード・バップへと語法が成熟していく時期、モンクは独創的な和声処理とリズム設計で作曲言語を確立した。その流れの中で誕生した本曲は、ジャム・セッションの共通語彙を土台にしながらも、メロディと休符の配置で強い個性を示す。曲名の由来と命名意図の詳細は情報不明だが、ハッケンサックは多くの名盤録音が行われた都市としてジャズ史に刻まれている。

有名な演奏・録音

基準となるのはモンク自身の録音で、トリオやカルテットなど複数テイクが流通している。以降、多数のモダン・ジャズ奏者がレパートリーに採り入れ、ピアニストはモンク語法の研究素材として、管楽器奏者はビバップ・ライン運用の練習曲として取り上げる例が多い。具体的な代表盤の網羅は情報不明だが、スタンダード集や実用譜面にも広く収載されている。

現代における評価と影響

今日では、セッションでの即興運用力を測る指標の一つとして扱われ、音楽大学や教育現場でも分析題材として用いられる。モンク作品に特有の間のとり方、意外性のある終止、ブルース感と抽象性の共存などを学べるため、上級者のみならず中級者の練習曲としても価値が高い。録音ごとのテンポ感やアーティキュレーションを比較しやすく、解釈の幅広さが評価の的となっている。

まとめ

「Hackensack」は、標準的なフォームの上にモンクの前衛性を凝縮した楽曲である。明快なコード進行を足場にしつつ、跳躍と休符が作るスリルが聴きどころ。情報が限られる点はあるものの、学習と実演の両面で長年支持される理由は、その堅固な構造と自由度の高さにある。