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Too Darn Hot

  • 作曲: PORTER COLE
#スイング#スタンダードジャズ
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Too Darn Hot - 楽譜サンプル

Too Darn Hot |楽曲の特徴と歴史

基本情報

Too Darn Hot は、作曲家コール・ポーター(PORTER COLE)が1948年のブロードウェイ・ミュージカル『キス・ミー、ケイト』のために書いたナンバー。劇中では休憩明け、アクト2の幕開けを飾る活気ある曲として知られ、のちにジャズ・クラブやビッグバンドの定番にもなった。洒脱な言葉遊びと強力なグルーヴ感が特徴で、ショー・チューンとしての華やかさと、ジャズの即興性の両方に開かれた楽曲設計が評価されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

小気味よいスウィングのビートに乗せ、ヴォーカルが畳み掛けるようにシラブルを刻むのが肝。ホーン・セクションのリフやコール&レスポンスを生かしたアレンジが相性よく、テンポは中速から速めまで幅広い。ヴォーカルでは語り口の妙とタイム感が問われ、スキャットやアドリブを挟む解釈も一般的。ハーモニーはスタンダードとして馴染みやすく、転調やブレイクを効果的に配しながら、ダンス・ナンバーとしての推進力を途切れさせない設計が多くの演奏家に支持されている。

歴史的背景

初演は1948年のブロードウェイ『キス・ミー、ケイト』。当時のアメリカ社会に話題を呼んだ文化的事象をさらりと織り込み、機知に富む風刺で観客を惹きつけた。作品自体はミュージカル史に残る成功を収め、ナンバー群も広く歌い継がれることとなった。本曲は舞台文脈ではダンサーとアンサンブルが熱量を可視化するショーストッパーとして機能し、その後の再演でもハイライトに位置付けられている。

有名な演奏・録音

映画『キス・ミー・ケイト』(1953年)では、アーン・ミラー(Ann Miller)が華やかなダンスとともに披露し、映像作品としての決定的な印象を残した。録音では、エラ・フィッツジェラルドが『Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book』(1956年)で取り上げ、クリアな発音と抜群のスウィングでスタンダードとしての地位を確立。以降、数多くのジャズ・ヴォーカリストやビッグバンドがレパートリー化し、コンサートやクラブ、舞台再演で定番として親しまれている。

現代における評価と影響

Too Darn Hot は、ショー・チューン由来のキャッチーさとジャズの自由度を兼備する「橋渡し」楽曲として、教育現場やオーディション、コンペでも頻繁に用いられる。テンポ、キー、編成に対する適応力が高く、ヴォーカルとダンス、ジャズ・コンボ、ビッグバンドのいずれにも映えるため、プログラムの起爆剤として重宝される存在だ。今日でも新録が途絶えず、コール・ポーター作品の入り口として聴かれる機会も多い。

まとめ

『キス・ミー、ケイト』発の Too Darn Hot は、ユーモラスな語り口と推進力あるスウィングで、舞台とジャズ双方の文脈を横断して愛される一曲となった。映画での印象的な場面、エラ・フィッツジェラルドの名唱を経て、現在も多彩な解釈を生み続ける。ショー・ナンバーの華とスタンダードの普遍性—その両面が、本曲を時代を超えて生かし続けていると言えるだろう。