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C Jam Blues
- 作曲: ELLINGTON DUKE

C Jam Blues - 楽譜サンプル
C Jam Blues|楽曲の特徴と歴史
基本情報
デューク・エリントン作曲の「C Jam Blues」は、C調の12小節ブルースを土台にしたジャズ・スタンダード。一般的に1942年録音が初出として知られ、エリントン楽団のソロイスト紹介曲として定着した。後年、歌詞付き改作「Duke's Place」も生まれたが、原曲はインストゥルメンタルである。シンプルな構造でありながら、演奏者の技量と発想を浮き彫りにする“ジャム向き”の設計が特徴で、世代や編成を超えて愛奏されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
主題は僅か二音のリフで構成され、シンプルゆえに即興のキャンバスが広い。ヘッド—ソロ回し—ヘッドという典型的形式で、ミディアム・スウィングのフィール、ウォーキング・ベース、四分カッティングのドラムが基調。ブルース・スケールやトニック/サブドミナントの呼応、ターンアラウンドのバリエーションなど、ジャムでの実践力を養う教材曲としても定番だ。ビッグバンドから小編成まで編曲の幅が広く、リフの対話やコール&レスポンスでアンサンブルの妙味が際立つ。
歴史的背景
1940年代初頭のエリントン楽団は個性派ソリストの宝庫で、簡潔な主題で長尺のアドリブを引き出すレパートリーを拡充していた。「C Jam Blues」はその文脈で生まれ、クラブやダンスホールの実演に根差したジャム・ナンバーとして支持を獲得。戦時期の音楽シーンでも演奏しやすいブルース形式が重宝され、バンドの魅力を端的に伝える代表的レパートリーとなった。
有名な演奏・録音
代表例として、デューク・エリントン楽団の1942年録音が基準点。続いてオスカー・ピーターソン・トリオやカウント・ベイシー楽団が豪快なスウィングで名演を残した。ルイ・アームストロングとエリントンの共演盤では、歌詞付き版「Duke's Place」として録音され、同曲の別側面を示した。さらに、ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニックなどセッション色の強い現場でも定番となり、多くのライブ盤で白熱のソロ回しが記録されている。
現代における評価と影響
今日では初心者のセッション入門曲でありつつ、名手の個性を際立たせる舞台としても機能。リアルブックや教育現場に広く採用され、キー、フォーム、タイム感の基礎を学ぶ教材として重宝される。配信時代でも多様な解釈が聴け、テンポやグルーヴ、イントロ/エンディングの工夫で無限のバリエーションが生まれる。シンプルな設計が即興表現の自由度を最大化する好例として評価は揺るがない。
まとめ
「C Jam Blues」は二音の主題と12小節ブルースという極限まで削ぎ落とした設計で、演奏者の創造性を引き出す永遠のジャム・チューン。初学者からプロまでが共通言語として扱える、ジャズの核心を体現する一曲である。