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Humpty, Dumpty
- 作曲: COREA CHICK

Humpty, Dumpty - 楽譜サンプル
Humpty, Dumpty|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『Humpty, Dumpty』は、ジャズ・ピアニスト/作曲家チック・コリアによるインストゥルメンタル楽曲。初出は1978年のコンセプト・アルバム『The Mad Hatter』で、歌詞は存在せず、主題と即興が明確に区分されたモダン・ジャズ系のナンバーとして知られる。作品名表記は“Humpty, Dumpty”で、一般的な童謡名に由来する綴りだが、本作は純然たる器楽曲である。
音楽的特徴と演奏スタイル
コリアらしいくっきりしたモチーフ提示と、跳躍を含む旋律線が印象的。和声はモーダルな場面と機能和声が交錯し、アドリブは明快なコード・サイクル上で展開される。リズムはシンコペーションの切れ味が要で、ピアノとリズム隊の緊密なコール&レスポンスが映える。テーマとソロがコントラストを作り、ダイナミクスの起伏が構成感を強めるため、アンサンブルの呼吸とアクセント設計が重要となる。
歴史的背景
本作が収められた『The Mad Hatter』は、ルイス・キャロル作品の世界観に着想を得た1978年のコンセプト作。タイトルは童謡や『鏡の国のアリス』に登場するキャラクター名と同名で、アルバム全体のモチーフと呼応している。70年代後半のジャズは電化サウンドとアコースティック志向が並行した時期で、コリアは両者を自在に行き来しながら、作曲面での明確な主題性と即興の自由度を併存させるアプローチを発展させていた。
有名な演奏・録音
代表的な録音は初出アルバム『The Mad Hatter』(1978)。以後、作曲者自身の各種編成でライブ演奏が重ねられており、トリオ、バンド形態ともに取り上げられてきた。再演や別テイクの詳細なディスコグラフィー、他アーティストによる網羅的な録音履歴については情報不明だが、作曲者のレパートリーとして継続的に演奏されている点は広く認識されている。
現代における評価と影響
今日では、明瞭なテーマ提示と即興の往還、ダイナミクスのコントラストといったコリアの作曲術を体現する一曲として注目される。配信環境で原盤へのアクセスが容易になっており、教育現場やセッションで参照される事例も見受けられるが、件数や採譜の普及度合いなど具体的統計は情報不明。いずれにせよ、演奏と鑑賞の双方で素材としての有用性が高い作品である。
まとめ
『Humpty, Dumpty』は、コンセプト性と演奏的強度を兼ね備えたコリア流モダン・ジャズの好例。端的なテーマ、機能的なソロ・スペース、アンサンブルの緊張感が一体化し、録音・ライブ双方で映える設計になっている。発表年以外の詳細情報に不明点はあるものの、コリア作品を聴き始める入口としても、演奏者が構成とダイナミクスを学ぶ教材としても有効な一曲と言える。