Last Train From Overbrook
- 作曲: MOODY JAMES

Last Train From Overbrook - 楽譜サンプル
「Last Train From Overbrook |楽曲の特徴と歴史」
基本情報
本作はサックス奏者ジェームス・ムーディによるインストゥルメンタル曲。初出は1958年、Argo(Chess傘下)の同名アルバム収録。ビバップ〜ハードバップ系の小編成コンボで演奏されることが多く、歌詞は存在しない。調性・フォームの詳細は情報不明だが、演奏現場ではアドリブを前提にした構成が一般的である。
音楽的特徴と演奏スタイル
タイトルが示す「列車」の加速感を思わせる推進力が聴きどころ。歯切れのよいリフ、クロマチックを交えた旋律、ii–V進行に基づく和声運動が特徴で、中速から速めのテンポでプレイされる例が多い。サックスの力強いブロウと、ライドシンバル主体のビートがスリルを生む。
歴史的背景
1950年代後半、ムーディは個人的困難を乗り越えて活動を再加速させた。曲名はニュージャージー州のOverbrook精神病院(Essex County Hospital Center)からの「最後の列車」を示唆し、退院と再起を象徴するものとして知られる。シカゴ拠点のArgo録音は、その復活期を記録する重要作となった。
有名な演奏・録音
最も知られる音源は1958年のアルバム『Last Train from Overbrook』収録テイク。以後の具体的な再録年やカバーの網羅情報は情報不明だが、ムーディのリーダー作やステージで取り上げられる機会があり、サックス・コンボのレパートリーとして一定の存在感を保っている。
現代における評価と影響
本曲はムーディの代表的オリジナルの一つとしてしばしば言及され、作曲家・即興演奏家としての個性を端的に伝える楽曲と評価される。疾走するモチーフとリズム設計は、1950年代後半ジャズの活力を体現し、今日でも学習者や聴き手に明快な入口を提供している。
まとめ
まとめると、『Last Train From Overbrook』はムーディの再起を象徴する1958年のインスト曲で、ビバップ語法と力強い推進力が核となる。まずは同年Argo盤のテイクを手掛かりに、テンポ設定やリフの扱い、ソロ構築のバリエーションを比較しながら鑑賞・研究すると理解が深まるだろう。