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Plaza Real

  • 作曲: SHORTER WAYNE
#コンテンポラリー#フュージョン#スタンダードジャズ
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Plaza Real - 楽譜サンプル

Plaza Real |楽曲の特徴と歴史

基本情報

Plaza Real は、サックス奏者・作曲家ウェイン・ショーターによるインストゥルメンタル曲。初出はWeather Reportのアルバム『Procession』(1983年/Columbia)。オリジナル録音の編成はショーター(サックス)、ジョー・ザヴィヌル(キーボード)、ヴィクター・ベイリー(ベース)、オマー・ハキム(ドラムス)、ホセ・ロッシー(パーカッション)。歌詞は存在せず、作詞者情報は情報不明。タイトルや具体的な制作経緯の詳細も公的資料では情報不明だが、バンド後期の代表的レパートリーの一つとして知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

端正で印象的な主題を軸に、転調や小規模なフォーム変化を重ねて展開する構築性が特徴。ショーターの抑制の効いたフレージングが要所で旋律線を引き締め、ザヴィヌルの多層的なシンセサイザーが広がりのある音場を描く。リズム・セクションは堅牢なグルーヴを保ちながらダイナミクスの振幅を大きく取り、ソロとアンサンブルのコントラストでドラマ性を生む。和声は明暗の曖昧さを帯び、明確なカデンツに依存しない推進力を作る点が聴きどころ。電子音色とアコースティックなサックスの対比も、本曲の個性を際立たせている。

歴史的背景

発表時の1983年、Weather Reportはメンバー交代を経て後期編成へ。高度なシンセサイザー運用と洗練されたプロダクションを志向し、エレクトリック・ジャズの成熟期を示していた。Plaza Realは、簡潔な主題、余白を生かす配置、曖昧性を含む和声処理といったショーターの作曲美学が、80年代的な音響設計と有機的に結びついた作例である。結果として、即興中心の初期フュージョンとは一線を画す「作曲とサウンド・デザインの統合」を提示した。

有名な演奏・録音

最も広く知られるのは『Procession』収録のオリジナル・ヴァージョンで、バンド後期サウンドの象徴的トラックの一つとされる。その他の公式な代表的録音、ライブ音源の網羅的情報、映画・テレビ・CM等での使用例については情報不明。出版譜や分析記事で取り上げられることはあるが、包括的なディスコグラフィは公的資料に乏しく、詳細は確認できない。コレクションとしては、まずはスタジオ音源の精緻なミックスを手掛かりに本曲の全体像を掴むのが有効だ。

現代における評価と影響

華美な技巧に依らず、メロディとテクスチャの組み合わせで緊張感を醸成する点が、ショーター作品の魅力を端的に伝える。エレクトリック・ジャズ/フュージョンの文脈では、80年代の音作りと作曲的緻密さの交点を学ぶ素材として参照されることがある。サックスの音域選択、間の取り方、シンセ層の配置などは、現代の制作環境でも応用可能で、録音作品の“鳴らし方”を考える上で示唆に富む。

まとめ

Plaza Real は、後期Weather Report期のショーターの作曲術を凝縮した一曲。端正な主題、洗練された音響設計、堅実なグルーヴが折り重なり、時代性と普遍性を併せ持つ。まずはオリジナル録音で全体の設計とダイナミクスを把握し、主題の提示と展開、サウンド・レイヤーの積み上げ方に耳を澄ませたい。情報不明な点はあるものの、作曲と音響の統合美を味わえる必聴曲である。