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Black Byrd

  • 作曲: MIZELL LARRY
#洋楽ポップス
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Black Byrd - 楽譜サンプル

Black Byrd|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Black Byrdは、トランペッターDonald Byrdの同名アルバム(1973, Blue Note)に収録された表題曲で、作曲はMIZELL LARRY。プロデュースはLarryと兄FonceによるMizell Brothers。70年代初頭のジャズ・ファンク路線を代表するインストゥルメンタル・トラックで、スタジオ制作のレイヤー感と洗練されたアレンジが特徴。単体シングル展開の詳細や演奏時間は情報不明だが、アルバムの核として位置づけられ、当時のByrdの音楽的転換を象徴する一曲として知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

中庸のテンポに乗る堅牢なリズム・セクションを土台に、Fender Rhodesやクラヴィネット、ワウ・ギターが織りなすグルーヴィなヴァンプが反復し、トランペットとサックスのリフ、ブラスのハーモニーが立体的に配置される。Mizell Brothers特有の光沢ある音響処理と空間の取り方により、厚みがありながらも抜けの良いサウンドを実現。メロディはミニマルなモチーフ運用が中心で、即興はリズムの推進力を強調する形で展開される。コーラス的な声のテクスチャが加わる場面もあるが、歌詞主体の楽曲ではない。

歴史的背景

60年代のハード・バップを牽引したDonald Byrdは、70年代に入りエレクトリック化とクロスオーバー志向を強めた。Black Byrd期の協業相手であるMizell Brothersは、ソウル/ファンクの語法をジャズに導入し、ダンスフロアでも映える質感を提示。本曲はその路線の代表例で、Blue Noteにおける時代変化と市場拡張の文脈の中で位置づけられる。ジャズとR&B、ポップの境界を軽やかに横断したことで、新たな聴衆を獲得する橋渡し役となった。

有名な演奏・録音

決定的なテイクはDonald Byrdによるオリジナル・スタジオ録音(1973, Blue Note)。以後、アルバムの再発やリマスタリングで継続的に聴かれてきた。ライブでの定番化や他アーティストの公的なカバーの網羅情報は情報不明。映画やテレビでの使用実績についても情報不明だが、レコード愛好家やDJの間でアルバムごと評価される過程で本曲の存在感も広がった。

現代における評価と影響

Black Byrdは、レアグルーヴ/ジャズ・ファンク文脈の基礎教養として広く参照される。タイトなドラム、うねるベース、電気鍵盤の質感は、その後のアシッド・ジャズやビート・ミュージックの感性にも接続し、DJカルチャーでの再評価を後押しした。Mizell期のByrd作品群がサンプリングや選曲の源泉として重視される中、本曲はエレクトリック期ジャズの入口として機能し続けている。

まとめ

MIZELL LARRY作曲のBlack Byrdは、ジャズ・ファンクのエッセンスを凝縮した重要作。反復グルーヴと洗練のプロダクション、節度ある即興が相互に補完し、ジャンル横断的な魅力を放つ。映画使用や特定のカバー情報は情報不明ながら、1973年の文脈から現代のクラブ/コレクター文化に至るまで、継続的に価値を更新してきた一曲といえる。