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All The Way

  • 作曲: VAN HEUSEN JIMMY
#スタンダードジャズ
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All The Way - 楽譜サンプル

All The Way|楽曲の特徴と歴史

基本情報

1957年公開の映画『The Joker Is Wild』のために、作曲ジミー・ヴァン・ヒューゼン、作詞サミー・カーンが書いたバラード。フランク・シナトラが初演し、同年のアカデミー賞歌曲賞を受賞した。のちにポピュラー/ジャズ双方のレパートリーで定番化し、アメリカン・ソングブックの一曲として広く親しまれる。邦題は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は32小節AABA。穏やかなテンポのラヴ・バラードで、滑らかな下行線と大胆な跳躍を織り交ぜた旋律が、献身的な愛の確信を描く。和声はセカンダリー・ドミナントや一時的転調を用い、ブリッジで色調を変えるのが特徴。歌唱はルバート序奏からレガート中心のフレージングが定番。ジャズ演奏では4ビートのバラード、あるいは2フィールで静謐にまとめる解釈が多い。

歴史的背景

戦後アメリカ娯楽映画の隆盛期に、シナトラとヴァン・ヒューゼン/カーンという黄金タッグが生んだ映画主題歌。クラブ・エンターテイナーの生涯を描く物語の哀感と高揚を受け止め、公開当時から大きな反響を獲得。シングルのヒットとテレビ・ステージでの頻繁な披露が相まって、ジャズ・クラブでも歌われる“標準曲”として定着していった。

有名な演奏・録音

代表的録音はフランク・シナトラのキャピトル録音。ネルソン・リドル編曲のオーケストラが気品ある伴奏を提供し、決定的名唱と評される。のちにシナトラはデュエット企画でセリーヌ・ディオンと再演し、新世代にも浸透。多くのジャズ歌手やサックス、ピアノ・トリオがレパートリーに採り上げ、バラード・セットの核となっている。

現代における評価と影響

現在でも結婚式や記念日の定番曲として親しまれ、ドラマや広告でも引用されることがある。音域は中低域から高域まで幅広く、息の支えとレガートを試されるため、ボーカルの教本やワークショップで教材化されることも多い。理論面ではブリッジの進行分析や内声のボイシング研究に適し、演奏家の基礎を磨く格好の素材だ。

まとめ

映画発のヒットから時代を超えたジャズ・スタンダードへ――「All The Way」は気品ある旋律と普遍的なメッセージで、世代やジャンルを越えて歌い継がれてきた。初めて聴くリスナーにも、表現を深めたい演奏家にも薦めたい、端正で奥行きのあるバラードである。