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Cake Walking Babies From Home
- 作曲: SMITH CHRIS,WILLIAMS CLARENCE

Cake Walking Babies From Home - 楽譜サンプル
Cake Walking Babies From Home|楽曲の特徴と歴史
基本情報
『Cake Walking Babies From Home』は、クリス・スミスとクラレンス・ウィリアムズの共作によるジャズ・スタンダード。歌詞付きで知られる一方、器楽曲としても広く演奏される。発表年は情報不明。2拍子系の軽やかなグルーヴと、タイトルが示すケークウォーク起源の舞踏感が核になっている。
音楽的特徴と演奏スタイル
ラグタイム由来のストレインが切り替わる構成に、明瞭なシンコペーションとブルーノートが融合。中速〜快速テンポで、ソプラノサックスやコルネットが鋭いメロディを提示し、バンジョーとピアノが拍感を支える。コール&レスポンスやブレイクを多用し、ホーン同士の“カッティング”が聴きどころ。歌唱版ではヴァースの後にリフレインが続き、掛け合いが映える。
歴史的背景
20世紀初頭のケークウォークの語法を、ニューオーリンズからニューヨークへ広がった初期ジャズの枠組みに接続した曲として位置づけられる。出版業者でもあったクラレンス・ウィリアムズのネットワークを通じて楽曲は拡散し、1920年代半ばのダンスホールやレビューで愛奏曲となった。楽譜流通とレコード録音の両面で広まった点が特徴的である。
有名な演奏・録音
クラレンス・ウィリアムズ・ブルー・ファイヴの録音は、シドニー・ベシェのソプラノが火を噴く名演として知られる。鋭利なソロとコルネットとの斬り合いのような応酬は、初期ホット・ジャズの熱狂を象徴するものだ。以降、ディキシーランド系の多くのコンボやトラッド系ビッグバンドがレパートリーに採用し、復刻盤やライヴでも定番化している。
現代における評価と影響
本曲は「舞曲的推進力×即興の白熱」の教科書として、演奏家と研究者の双方に参照される。ホーンのアーティキュレーション練習やアンサンブルのダイナミクス構築に適し、ジャム・セッションでも機能する実践的レパートリーであり続けている。
まとめ
ケークウォークの軽快さとホット・ジャズの躍動を凝縮した一曲。歌入りでも器楽でも映える柔軟さが、時代を越えてスタンダードとしての生命力を保ち、聴き手を踊らせ続ける。