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Amapola

  • 作曲: LACALLE GARCIA JOSE MARIA
#洋楽ポップス
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Amapola - 楽譜サンプル

Amapola|歌詞の意味と歴史

基本情報

Amapolaは、作曲家José María Lacalle García(表記ゆれ:Joseph Lacalle)による楽曲。発表年はおおむね1920年とされ、原語はスペイン語。タイトルの“Amapola”はスペイン語で「ヒナゲシ(ポピー)」を指し、英語題“Pretty Little Poppy”としても広く知られる。作詞者はスペイン語詞のRoldán、英語詞のAlbert Gamseに帰されるが、出典により表記やクレジットの扱いが異なる点があり、確定的整理は情報不明。ジャンルとしてはラブ・ソングとして親しまれ、声楽からポピュラー、ビッグバンド、映画音楽まで幅広く取り上げられてきた。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、鮮やかな花「アマポーラ」を恋人の象徴として歌い上げる直截的な恋愛抒情に基づく。花の可憐さと儚さ、そして視線を引きつける存在感が、相手への憧憬や永遠性への希求と結びついて表現される。スペイン語詞では甘美で情熱的な響きが強調され、英語詞ではより端的で親しみやすい言い回しへと翻案された。いずれの版でも、比喩の中心は「花と恋人」の対応であり、誓い、憧れ、慰撫といったロマンティックな感情の高まりが曲の流麗な旋律線と呼応している。全文歌詞の引用は控えるが、核心は「美しさへの賛歌と恋の告白」にある。

歴史的背景

20世紀初頭、欧米の大衆音楽はレコードとラジオの普及で国境を越える時代を迎えた。Amapolaもその潮流の中で出版・録音が進み、スペイン語圏を起点に英語圏へと広がる。1920年代以降、声楽家による抒情的なアプローチと、ダンス・バンドによる洒落たアレンジの双方で人気を博し、やがてスタンダード的地位へと定着した。とりわけ英語詞版の流通が国際的な浸透を後押しし、ラジオ番組やレコード市場で長く親しまれる存在となった。

有名な演奏・映画での使用

ビッグバンド時代にはJimmy Dorsey楽団の演奏が人気を集め、以降も多数の歌手・テノール歌手がレパートリーに採用している。映画では、セルジオ・レオーネ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)において、エンニオ・モリコーネのアレンジで印象的に用いられ、作品のノスタルジアと切なさを象徴するモチーフとして強い印象を残した。ほかにもコンサートやテレビ番組で頻繁に取り上げられ、編成やテンポを変えた多数のカバーが存在する。

現代における評価と影響

Amapolaは、言語や時代を超えて歌われるロマンティック・ソングの代表格として位置づけられる。旋律の覚えやすさと歌詞の普遍性が、クラシカル・クロスオーバーからポピュラー、インストゥルメンタルまで適応可能で、教育・発表会・コンサートの現場でも息長く選ばれている。編曲の自由度が高く、情感をたたえたレガート唱法からスウィング感あるリズミカルな解釈まで、演者の個性を引き出せる点も評価の理由である。

まとめ

花を恋の象徴に据えたAmapolaは、1920年代に生まれた抒情歌ながら、時代ごとの演奏様式に寄り添いながら広がった稀有な名曲である。作曲者Lacalleの旋律美は、言語の違いを超え、映画やコンサートの場で新たな意味を獲得し続けている。作詞クレジットには情報不明な点が残るものの、楽曲の魅力と文化的波及力は揺るぎない。今後も多様な解釈で歌い継がれていくだろう。