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Duke's Place

  • 作曲: ELLINGTON DUKE
#スタンダードジャズ
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Duke's Place - 楽譜サンプル

Duke's Place|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Duke's Placeは、デューク・エリントン作曲の名曲「C Jam Blues」を母体とする歌詞付きヴァージョン。作詞はBill Katz、Ruth Roberts、Bob Thieleに帰される。形式は12小節ブルースで、原曲のシンプルなリフとソロ回しの構造を踏襲。タイトルが示す通り、エリントンのクラブ=“Dukeの居場所”に誘うようなムードを持つ。初出年は器楽版が1942年、歌詞版としては1961年の録音で広く知られるようになった。ジャンルはジャズ。

音楽的特徴と演奏スタイル

核となるテーマは二音中心のリフで、ブルースの機能和声上を滑らかにスウィングする。テンポはミディアムが標準だが、バンドや歌手により可変。基本構成はイントロ—ヘッド—ソロ回し—エンディングというジャム・セッション定番の流れ。歌唱版では、ヴァース的な導入やスキャット、コール&レスポンスを挿入する例も多い。調性はCが伝統的だが、歌手のレンジに合わせて移調される。アンサンブルは小編成からビッグバンドまで適応力が高い。

歴史的背景

C Jam Bluesはエリントン楽団のレパートリーとして1942年に確立し、ソリスト紹介の格好の器として機能した。その普遍性が評価され、後年に歌詞が付されDuke's Placeとしても親しまれるようになる。1961年の録音でヴォーカル曲としての存在感が一気に浸透し、以降、クラブやコンサートで歌と器楽の両面から演奏される二重のスタンダードへ発展した。映画や特定の映像作品での明確な使用情報は情報不明。

有名な演奏・録音

最も著名なのは1961年のルイ・アームストロングとデューク・エリントンの共演盤に収められたテイク。豪放な歌とピアノ、コンボの掛け合いが、楽曲の魅力を端的に示す。エリントン楽団はライヴでたびたび取り上げ、形を変えながら長年演奏してきた。ほかにも多くのジャズ・ヴォーカリストやビッグバンドがレパートリーに加えているが、網羅的なディスコグラフィは情報不明。いずれの演奏でもソロ回しとグルーヴの作り方が肝要となる。

現代における評価と影響

Duke's Placeは、初心者にも親しみやすい二音リフと、上級者の創造性を引き出すブルース形式を兼備し、教育現場やセッションの定番として生き続ける。アレンジの自由度が高く、ボーカル・コールやシャウト・コーラスの追加など拡張も容易。結果として、世代や編成を超えて共通言語となり、ジャズの即興性・コミュニケーション精神を体現する曲として評価されている。

まとめ

Duke's Placeは、C Jam Bluesの普遍的構造に言葉を与え、歌と演奏の両輪で楽しめるジャズ・スタンダードである。簡潔な素材ゆえに、タイム感・サウンド・会話性といった本質が露わになり、名手ほど個性が際立つ。歴史的背景と定番の名演に学びつつ、自身のバンドや声に合ったテンポとキーで、自由に発展させたい一曲だ。