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Every Day I Have The Blues

  • 作曲: CHATMAN PETER,MEMPHIS SLIM
#スタンダードジャズ
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Every Day I Have The Blues - 楽譜サンプル

「Every Day I Have The Blues|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

Every Day I Have The Bluesは、歌詞を伴う12小節ブルースとして広く親しまれるジャズ/ブルース・スタンダード。クレジットは版によりPeter Chatman(Memphis Slim)名義やMemphis Slim名義で表記される。最初期の録音は1930年代のPinetop Sparksによるものとして知られ、戦後にMemphis Slimが再解釈して広く普及した。クラブの小編成からビッグバンドまで幅広い編成で取り上げられ、キーやテンポは演者により柔軟に選ばれる。

音楽的特徴と演奏スタイル

基本はI–IV–Vに基づく12小節形式。スウィングやシャッフルのフィールで演奏され、コール&レスポンス(ボーカルとホーン/ギター/ピアノ)が映える。ブルース・スケールやミクソリディアンを用いたソロが定番で、ブレイクや強力なターンアラウンドがドラマを生む。テンポは中速〜快速まで幅があり、ピアノのオスティナートやホーンのシグネチャー・リフを伴うアレンジが多い。歌詞は日々の倦怠や孤独を嘆く主題で、感情のダイナミクスが重要だ。

歴史的背景

1930年代の都市ブルースの流れの中で録音され、戦後ブルースの隆盛とともに再評価が進んだ。Memphis Slim(Peter Chatman)が自作名義で録音・普及させた後、スウィング/ジャズ界でも取り上げられ、クロスオーバー的に定着。クラブ文化やラジオ放送の発達が拡散を後押しし、シカゴ・ブルースとビッグバンド・サウンドの接点を象徴する楽曲として位置づけられていく。

有名な演奏・録音

決定版としてしばしば挙げられるのが、ジョー・ウィリアムズを擁したカウント・ベイシー楽団の演奏。タイトなホーン・リフとブルージーな歌唱で、クラブからコンサートホールまで定番化した。B.B.キングのライブ演奏(たとえば1960年代の『Live at the Regal』収録テイク)は、攻撃的なギターとソウルフルなボーカルでロック世代にも影響。Memphis Slim自身の録音はピアノ中心の解釈として基準点とされ、Pinetop Sparksの初期録音は楽曲史を理解する上で重要だ。

現代における評価と影響

今日ではブルース・ジャムのスタート曲として最も知られる一つで、ジャズ教育の現場でも12小節形式やコール&レスポンス、ダイナミクスの学習曲として重視される。アレンジの自由度が高く、歌伴から器楽ソロまで器用に機能するため、幅広い世代の演奏家に受け継がれている。録音・映像作品も多く、入門者がブルースの語法を体得する格好のレパートリーとして評価が定着している。

まとめ

Every Day I Have The Bluesは、シンプルな12小節に深い表現力を宿した普遍的名曲である。Memphis Slimの普及、ビッグバンドやモダン・ブルースの名演を通じて、時代とジャンルをまたぎ生き続けるスタンダードとなった。演奏する側にはフォーム理解とフィールの精度が求められ、聴き手には歌詞に宿る日常の憂いとエネルギーの両義性が響く。今後もライブ現場で息長く愛されるだろう。