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Green Haze

  • 作曲: DAVIS MILES
#スタンダードジャズ
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Green Haze - 楽譜サンプル

Green Haze|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Green Hazeは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)作曲の器楽曲。初出は1955年、Prestigeレーベルのアルバム『The Musings of Miles』に収録された録音で、ニュージャージー州ハッケンサックのヴァン・ゲルダー・スタジオで行われた。編成はトランペット(マイルス)、ピアノ(レッド・ガーランド)、ベース(オスカー・ペティフォード)、ドラム(フィリー・ジョー・ジョーンズ)のカルテット。歌詞は存在しないため、作詞者は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

本作はミドル・テンポのジャズ・ナンバーとして知られ、旋律は簡潔で、余白を活かすマイルス特有の語り口が際立つ。ピアノのレッド・ガーランドはスイング感のあるコンピングでソロと伴奏を切り替え、リズム・セクションは堅実なドライブを提供。凝った転調や複雑なフォームを誇示するより、モチーフの反復と間の使い方で緊張と解放を作る点が聴きどころ。演奏難度は極端に高くないが、音価の選び方とタイム感が表現の鍵となる。

歴史的背景

1955年はマイルスにとって転機の年で、ヴァン・ゲルダー・スタジオでのPrestige録音が活発化し、後の第一期クインテット結成へと至る過程にあたる。Green Hazeは、バップ以降の語法を簡潔な主題で結晶化させるマイルスの作曲美学を示す一例で、彼が1950年代半ばに確立したクールさとハード・バップの推進力の折衷を、コンボ編成で端的に提示した作品といえる。

有名な演奏・録音

代表的な音源は、1955年録音の『The Musings of Miles』収録テイクである。今日まで同テイクはCDや配信で再発され、音質面でも改訂版が複数存在する。ほかの著名アーティストによるカバーやライブ音源については情報不明で、標準曲として頻繁に取り上げられるタイプではない。ゆえに入門者はまずオリジナル録音を基準に、フレージングと伴奏の呼吸感を把握するとよい。

現代における評価と影響

Green Hazeは、派手な技巧を前面に出さず、少ない音で説得力を持たせるマイルスの美学を学ぶ教材として評価される。楽曲自体の知名度は『So What』や『Four』ほど高くないが、1955年前後の音作りや、レッド・ガーランドとフィリー・ジョー・ジョーンズの役割分担を知るうえで有用だ。録音の明瞭さも手伝い、ラインの置き方、間合い、スウィングの乗せ方を研究する実践的なリファレンスとなっている。

まとめ

Green Hazeは、1955年Prestige期のマイルス・デイヴィスが示した簡潔さと強靭なタイム感を体現する器楽曲。名曲群に比べ露出は控えめだが、オリジナル録音の完成度は高く、ミドル・テンポのコンボ・ジャズにおける「語る」即興の手本となる。まずは初出テイクを聴き、主題の扱いと伴奏のダイナミクスに注目すると、作品の核心に到達しやすい。