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On Broadway

  • 作曲: LEIBER JERRY,STOLLER MIKE,WEIL CYNTHIA,MANN BARRY
#スタンダードジャズ
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On Broadway - 楽譜サンプル

On Broadway|歌詞の意味と歴史

基本情報

「On Broadway」は、ジェリー・リーバー/マイク・ストーラー、シンシア・ワイル/バリー・マンの共作によるポップ/R&Bナンバー。1963年にザ・ドリフターズが発表し、アトランティック・レコードからリリースされた。マン&ワイルの原曲に、名プロデューサーでもあるリーバー&ストーラーが手を入れ、都会的なコーラス・ワークと洗練されたアレンジで仕上げられている。その後も多くのアーティストに歌われ、世代とジャンルを越えるスタンダードとして定着した。

歌詞のテーマと意味

物語は一人称で進み、ブロードウェイに夢を託してやってきた若者の視点から、華やかな光と厳しい現実が対比的に描かれる。きらめく街の誘惑に胸を躍らせる一方、周囲の冷たい視線や試練に直面し、それでも諦めずに自らの才能と努力で道を切り開こうとする決意が語られる。成功神話の象徴であるブロードウェイを舞台に、「挫折と希望」「労働と報酬」「自己証明」という普遍的テーマが凝縮され、聴き手の人生経験と重なり合うことで強い共感を呼ぶ。直接的なスローガンに頼らず、情景描写と語り口で意志の強さを浮かび上がらせる点が、本曲の説得力を高めている。

歴史的背景

1960年代初頭のニューヨーク、ブリル・ビルディング系作家陣の黄金期に生まれた本曲は、職人的ソングライティングの粋を示す。ドリフターズは都会的なR&Bを洗練させたボーカル・グループで、彼らのスタイルは本作の都市的ストーリーと好相性だった。マン&ワイルの骨太なメロディと言葉運びに、リーバー&ストーラーの編曲感覚が加わり、ラジオ映えするポップ性とソウルフルなダイナミズムを両立。移動と上昇志向の時代精神を捉えたテキストは、当時の大衆文化のムードとも呼応した。

有名な演奏・映画での使用

オリジナルのザ・ドリフターズ版に加え、ジョージ・ベンソンが1978年のライヴ盤『Weekend in L.A.』で披露したカバーは、滑らかなギターとグルーヴで新機軸を示し広く支持を得た。映画では、ボブ・フォッシー監督『オール・ザット・ジャズ』(1979)のオープニングでベンソン版が印象的に使用され、ショービジネスの光と影を象徴する一曲として記憶に刻まれた。舞台では、リーバー&ストーラー作品によるブロードウェイ・レビュー『Smokey Joe’s Cafe』でも取り上げられている。さらに、ニール・ヤングがアルバム『Freedom』(1989)で異色のロック解釈を残すなど、ジャンルを越えたカバーが多数存在する。

現代における評価と影響

「On Broadway」は、シンガーの自己語りと都市の神話を結びつけた名曲として、ポップ/R&Bの標準曲に数えられることが多い。オーディションやショーケースでの選曲、音楽教育の題材、メディアでの引用など、実演・学習・映像文脈のいずれでも存在感が持続。カバーが示す通り、テンポやアレンジを変えても核となる物語性が揺らがないため、世代交代の中でもメッセージが更新され続けている。華やかさとリアリズムを併せ持つこの楽曲は、今も都市文化と個人の夢を語る象徴的テキストとして機能している。

まとめ

ブリル・ビルディングの名匠たちが生み出し、ドリフターズが世に広め、ジョージ・ベンソンらが再解釈して普遍化した「On Broadway」。夢を追う者の決意を描いた歌詞は時代を超えて共鳴し、映画や舞台でも象徴的に用いられてきた。都市の輝きと試練、その両方を抱きしめるこの曲は、今なお多様なアーティストに歌い継がれる現代的クラシックと言える。