あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

The Pink Panther

  • 作曲: MANCINI HENRY NICOLA
#洋楽ポップス#映画音楽
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

The Pink Panther - 楽譜サンプル

The Pink Panther|作品の特徴と歴史

基本情報

The Pink Pantherは、作曲家ヘンリー・マンシーニ(MANCINI HENRY NICOLA)が1963年公開の映画『ピンクの豹』(監督:ブレイク・エドワーズ)のために書いたテーマ。器楽の映画音楽で、オープニングのアニメーションとともに世界的に知られるようになった。初演時の録音ではテナーサックスをプラス・ジョンソンが担当し、その滑らかで艶のある音色が決定的なイメージを形作った。以後、シリーズ作品やテレビアニメでも繰り返し用いられ、フランチャイズのアイコンとして機能している。

音楽的特徴と表現

中庸のスウィング・フィール、短調ベースのクロマチックな主題、ウッドベースのオスティナートが核となる。メロディは半音階的な動きとブルージーなニュアンスで“忍び歩く”質感を表現。テナーサックスのレガート、ヴィブラフォンやピアノの和声パッド、ミュートを活かしたブラスの合いの手が、陰影に富むサウンドスケープを作る。単純なモチーフを反復とダイナミクスで巧みに展開し、映像のユーモアと洒脱さを音で具現化している点が大きな魅力である。

歴史的背景

マンシーニとエドワーズは『ピーター・ガン』などで培った“ジャズ語法を映像に溶け込ませる”手法を本作でも発展させた。1960年代初頭のハリウッドにおいて、ジャズとオーケストラを横断するスコアは新機軸であり、都会的な洗練をもたらした。また、タイトルバックのアニメーションで“ピンク・パンサー”というキャラクターが確立され、音楽は視覚的アイコンと強く結びついた。これによりテーマは映画単体を超えたブランドの指標となった。

使用された映画・舞台(該当時)

テーマは1963年の初作オープニングに登場し、その後の『ピンク・パンサー』映画シリーズやテレビアニメのタイトルでも反復使用。シリーズの時代や編成に応じ、テンポやオーケストレーションが更新されつつも、クロマチックな主題とサックス主導という核は一貫して維持された。2000年代の実写リブートでも新録版が用意され、世代やメディアを越えて“ピンク・パンサー=この旋律”という連想を強固にしている。

現代における評価と影響

The Pink Pantherは映画音楽でありながら、ジャズ・コンボやビッグバンドの定番レパートリーとして定着。学校の吹奏楽・ジャズ教育でも頻繁に取り上げられ、サックス入門の名曲としても親しまれる。CMやバラエティで“こっそり”“怪盗”を示す音として引用されるなど、記号性はきわめて高い。録音や編曲のバリエーションが豊富で、ポップス、ラテン、スウィングなど多様なスタイルに展開可能な柔軟性も評価されている。

まとめ

マンシーニによるThe Pink Pantherは、短い動機と色彩豊かな編成でキャラクターと物語世界を瞬時に喚起する映画音楽の典型例である。歌詞は存在せず、器楽の洗練で魅せる。初演時のサックス像を軸に、時代ごとに刷新されながら普遍的なフレーズとして受け継がれ、映像と音楽の相互作用が生み出す“ユーモラスで洒脱なスリル”を現在も提示し続けている。