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What Are You Doing New Year's Eve?

  • 作曲: LOESSER FRANK
#スタンダードジャズ
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What Are You Doing New Year's Eve? - 楽譜サンプル

「What Are You Doing New Year's Eve?|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

What Are You Doing New Year’s Eve? は、作曲家・作詞家フランク・レッサーによる1947年のポピュラー・ソング。独立した作品として発表され、年末年始に多く演奏されることからホリデー期の定番曲として親しまれ、現在はジャズ・スタンダードとしても広く扱われている。恋人に新年の夜の予定をやさしく問いかける内容で、季節感とロマンティシズムを併せ持つ。映画や舞台のために書かれたという確証はなく、初出の媒体はレコード・シングルでの流通が中心だった。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポのバラードに分類されることが多く、柔らかな旋律線と、ジャズ解釈で映える豊かな和声が魅力。ヴォーカルではブレスの間合いを活かしたレガート唱法、イントロでのルバートやピアノのアルペジオ、ブラシを用いたスウィング感の穏やかなリズムなどが好まれる。終盤にかけてのダイナミクスの膨らみや、半音階的なテンションを含むリハーモナイズにも相性がよい。編成は小編成コンボからストリングス入りのオーケストラまで幅広く、季節感を添えるシロフォンやベル系の装飾が用いられることもある。

歴史的背景

戦後アメリカのポピュラー音楽が豊熟期を迎えた1947年、レッサーは作曲・作詞を自ら手がけ本作を世に送り出した。歌詞は“かなり早い時期に新年の約束を打診する”というユニークな視点で、単なる祝祭歌ではなく、期待と不安が交錯する心理を端正に描く。クリスマス曲と混同されることもあるが、主題はあくまで“ニューイヤーズ・イブ”である点が特徴。ブロードウェイや映画音楽でも活躍したレッサーの作家性—耳馴染みの良い旋律と語感の美しさ—が、本作にも明瞭に表れている。

有名な演奏・録音

初期録音としてはマーガレット・ホワイティングのヴァージョン(1947年)が知られ、その後、ザ・オリオールズなど1940年代後半のポップ/R&B界にも広がった。ジャズ分野ではエラ・フィッツジェラルドの録音が代表的で、ホリデー期のプレイリストの定番として定着。以降も多くのシンガーが取り上げ、デュオやビッグバンド編成、インストゥルメンタル解釈まで多彩に拡張されている。2011年にはズーイー・デシャネルとジョセフ・ゴードン=レヴィットのデュエット動画が話題となり、新たな世代にも楽曲の魅力を印象づけた。

現代における評価と影響

本作は毎年年末にストリーミングが上昇する“季節曲”として定着し、ジャズ、ポップ、アコースティック・フォークなどジャンルを横断して演奏され続けている。歌詞の普遍的な問いかけは、時代や文化を超えて共感を呼び、CMや映像作品での起用例も見られる(具体作品は情報不明)。音域やテンポの柔軟性から、アマチュア合唱や学校の音楽活動でも取り上げやすい点も普及に寄与。結果として“年の瀬をロマンティックに彩る定番曲”という評価が定まり、カタログ価値は今も拡大を続けている。

まとめ

What Are You Doing New Year’s Eve? は、レッサーの洗練されたメロディと言葉運びが生んだ、ホリデー期の名スタンダード。穏やかなバラードとしての親しみやすさに加え、ジャズ的再解釈の自由度も高く、時代ごとに新たな名演が生まれてきた。年末の空気感と恋の期待を端正に描くこの曲は、今後も多様な歌い手・奏者によって更新され続けるだろう。