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Greensleeves

  • 作曲: TRADITIONAL
#トラディショナル
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Greensleeves - 楽譜サンプル

Greensleeves|歌詞の意味と歴史

基本情報

Greensleevesは、作曲者不詳のイングランド伝統民謡(TRADITIONAL)。最古の記録は1580年の出版登録で、当時から人気の高いバラッドとして広まった。旋律は短調系で物憂げな情感を帯び、ロマネスカ系の定型進行を基盤とすることで知られる。6/8や3/4で演奏されることが多く、リュートや声楽、合唱から管弦、ジャズまで幅広い編成に適応。19世紀には賛美歌作詞家ウィリアム・C・ディックスが新たな歌詞を付けた「What Child Is This?」としても定着し、クリスマスの代表曲の一つとなった。

歌詞のテーマと意味

原歌詞は一人称の恋愛嘆訴を軸に、相手の冷淡さに苦しむ心情や献身を述べる内容が中心。呼びかけの相手「Lady Greensleeves」への未練、裏切られた思い、贈り物や忠誠の誇示などが主要なモチーフとなっている。「Greensleeves」という語の語源的・文化的含意については諸説あるが、確定的解釈は情報不明。いずれにせよ、失恋の痛みと貴族社会の礼節・贈答文化が交差するテキストとして受け取られており、軽やかな拍節感と憂愁の旋律が歌詞の歎きを強調する点が長く愛される理由である。

歴史的背景

チューダー朝期のロンドンではブロードサイド・バラッドが隆盛を極め、Greensleevesもそうした印刷物を通じて広がった。しばしば語られる「ヘンリー八世作曲説」は根拠不十分とされ、学術的には採用されていない。音楽語法としては、当時ヨーロッパ各地で流行した定型低音・和声進行(ロマネスカ系)との連関が指摘され、民謡でありながら大陸的な舞曲感覚を帯びる。以後、宮廷・市井の両レパートリーで歌われ、器楽変奏や声楽編曲が多数作られた。

有名な演奏・映画での使用

20世紀にはラルフ・ヴォーン・ウィリアムズが自作のオペラ『Sir John in Love』の素材をもとに「グリーンスリーヴズによる幻想曲」として広め、管弦楽曲として世界的に親しまれた。また、ジョン・コルトレーンは1960年代初頭にこの旋律をモーダル・ジャズの語法で再解釈し、ジャズ・スタンダード的な位置づけにも貢献。合唱・吹奏楽・リコーダーなど教育現場の定番編曲も豊富で、テレビや舞台音楽の引用例も多い(個別作品名は情報不明)。

現代における評価と影響

Greensleevesは、民謡・宗教曲・芸術音楽・ジャズを橋渡しする稀有な旋律として、ジャンル横断的な生命力を示している。クリスマス・シーズンの定番曲としての親和性に加え、哀歌的メロディと反復進行はアレンジ自由度が高く、映像音楽や商業音楽でも汎用性が高い。著作権的にも伝承曲として広く利用され、学習・演奏・コンテンツ制作の素材として今なお豊かなインスピレーションを与え続けている。

まとめ

16世紀に端を発するGreensleevesは、失恋の嘆きを歌う民謡として誕生し、のちに賛歌や管弦、ジャズへ展開して普遍性を獲得した。作者・語源の断定は情報不明ながら、旋律と和声の魅力が時代と領域を超えて受け継がれていることこそ、本曲最大の価値である。