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I'm Glad There Is You
- 作曲: DORSEY JIMMY,MADEIRA PAUL

I'm Glad There Is You - 楽譜サンプル
I'm Glad There Is You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Jimmy Dorsey(作曲)とPaul Madeira(作詞)によるバラード「I'm Glad There Is You」は、スウィング期に生まれ、現在は定番のジャズ・スタンダードとして広く親しまれている。原題は “I'm Glad There Is You (In This World of Ordinary People)”。初出年や初演については情報不明だが、ビッグバンド時代の感性を色濃く残すラヴ・ソングで、歌もの・インストの双方で演奏される。穏やかな情緒と上品なメロディが特徴で、クラブやコンサートのバラード枠を支える定番レパートリーだ。
音楽的特徴と演奏スタイル
多くの場合スロー〜ミディアム・スローで演奏され、旋律の自然な語り口が活きる。ヴォーカルではルバートのイントロから入り、ピアノやギターのシンプルなヴォイシングで歌を支えるアレンジが好まれる。音域の跳躍が適度で、行間の余白に表情を与えやすいことも魅力。ダイナミクスとブレスの設計、終止でのテンション処理が要所となる。インストではテナーサックスやトランペットのカンタービレなレガートが映え、ブラシ主体のドラムと控えめなベースが歌心を引き立てる。転調や装飾的リハーモナイズは控えめでも十分に成立し、フレーズの間合いと音色のコントロールが勝負どころとなる。
歴史的背景
作曲者Jimmy Dorseyはスウィング期を代表するバンドリーダー/管楽器奏者で、当時のポピュラーとジャズの接点に多くの名曲を残した。本曲もその文脈にあり、ラジオ全盛の時代にロマンティックなバラードとして親しまれ、のちにアメリカン・ソングブックを彩る一曲として定着した。戦中から戦後にかけてヴォーカリストのレパートリーに組み込まれ、クラブ文化やレコード市場の発展とともに幅広い聴衆へ浸透していった。
有名な演奏・録音
Jimmy Dorsey楽団による録音(ボーカル:情報不明)をはじめ、Ella Fitzgerald、Frank Sinatra、Sarah Vaughanなど偉大な歌手が取り上げ、名唱の系譜を築いた。これらの録音は、端正なメロディと余情ある歌詞の魅力を示す代表例として参照され続けている。器楽面でも多くのジャズ・プレイヤーがバラードの定番としてレパートリー化。映画やドラマでの使用は散発的に見られるが、具体的な作品名は情報不明である。
現代における評価と影響
現在もジャズ教育やセッション現場で頻繁に扱われ、歌詞の余韻とメロディの気品が、表現力を磨く教材として重宝される。録音技術や配信環境の進歩により、親密な小編成からストリングスを加えたリッチな編成まで多様な解釈が提示され、バラード表現の範囲を広げている。スタンダード集や歌手の名盤での再録も途切れず、世代を超えて評価が更新され続けている。
まとめ
「I'm Glad There Is You」は、普遍的な愛のメッセージと端正な旋律を併せ持つジャズ・バラード。演奏者には音色と間合い、聴き手には静かな感動をもたらし、時代を越えて歌い継がれてきた。具体的な初出情報は一部で情報不明ながら、スタンダードとしての地位は揺るぎなく、今後も名演が更新され続けるだろう。