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Bluette

  • 作曲: BRUBECK DAVID W
#スタンダードジャズ
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Bluette - 楽譜サンプル

Bluette|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Bluette(ブルエット)は、デイヴ・ブルーベック(本名: David Warren Brubeck)作曲のインストゥルメンタル。初出はデイヴ・ブルーベック・クァルテットのアルバム「Time Further Out (Miro Reflections)」(1961年、Columbia)。同作はピアノのブルーベック、アルトサックスのポール・デスモンド、ベースのユージン・ライト、ドラムのジョー・モレロという黄金メンバーによる録音として知られます。曲名の由来や正式な拍子、初出版年の詳細は情報不明ですが、アルバムにおける一曲として確かな存在感を放ち、クァルテットの洗練されたアンサンブルを象徴する作品のひとつとして位置づけられています。

音楽的特徴と演奏スタイル

Bluetteは、穏やかなムードの中に品位ある旋律線と端整なハーモニーが配され、クァルテットの呼吸感が際立つ楽曲です。ピアノの端正なヴォイシングと、アルトサックスの滑らかなフレージングが丁寧に絡み合い、ベースとドラムは音数を抑えながらも推進力を失わないサポートで全体を支えます。急速な技巧披露よりも、音色の透明感やダイナミクスのコントロール、間(ま)の美しさが重視され、聴き手に余韻を残すタイプの演奏が中心。明確な歌詞は存在せず、旋律そのものの抒情性やアンサンブルのバランスで物語性を描く点が魅力です。拍子構造の詳細は情報不明ですが、アルバム全体の美学に沿った時間感覚の工夫が感じられます。

歴史的背景

「Time Further Out」は、ブルーベックが時間(拍子・リズム)の探究を進めた流れの中で制作された作品で、副題の通りスペインの画家ジョアン・ミロの絵画から着想を得たコンセプトが打ち出されています。1959年の「Time Out」での実験精神を受け継ぎつつ、より内省的で色彩感に富むサウンドを志向した点が特徴です。Bluetteはその中で、鋭利な実験性というよりも、構築された均整美と抒情性に比重を置いたナンバーとして機能し、アルバムの設計思想に奥行きを与えました。発表当時のチャート動向や単体曲としての評価の推移は情報不明ですが、作品全体の完成度が語られる際に、流れを整える重要曲としてしばしば参照されます。

有名な演奏・録音

最も基本となるのは、デイヴ・ブルーベック・クァルテットによるオリジナル録音(1961年、Columbia「Time Further Out」収録)です。ピアノ、アルトサックス、ベース、ドラムのアンサンブルが端正に記録され、各パートの音量バランスやタッチのニュアンスが明晰に聴き取れます。他アーティストによる大規模なカヴァーや映画での使用実績については情報不明ですが、ブルーベック作品を体系的に辿るうえで、アルバムと併せてこのテイクを聴くことが推奨されます。再発やリマスター盤も流通し、音質面での選択肢も確保されています。

現代における評価と影響

Bluetteは、派手な技巧や奇抜なフォームに依存しない端正な美しさで、モダン・ジャズ期の洗練を示す一曲として現在も安定した評価を得ています。ピアノとアルトサックスの対話、リズム・セクションの抑制と推進の均衡は、アンサンブルの教科書的な聴きどころとして、演奏家やリスナーの学習・鑑賞双方で価値を持ち続けています。大ヒット曲の陰に隠れがちなアルバム曲ながら、作品全体のコンセプトを理解する上で欠かせない位置を占め、ブルーベック流の「時間」と「色彩」への感受性を静かに伝えています。

まとめ

Bluetteは、デイヴ・ブルーベックの美学が端正に結晶したインストゥルメンタル。アルバム「Time Further Out」の文脈で聴くことで、曲の抒情とアンサンブルの均整がより鮮明に浮かび上がります。拍子や出版年など細部に情報不明な点はあるものの、オリジナル録音を軸に鑑賞すれば、その魅力は十分に伝わるはずです。静謐で洗練されたジャズを求めるリスナーに、まず薦めたい一曲です。