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Ave Maria

  • 作曲: SCHUBERT FRANZ (KLASSIKER)
#トラディショナル#クラシック
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Ave Maria - 楽譜サンプル

Ave Maria|作品の特徴と歴史

基本情報

フランツ・シューベルトの「アヴェ・マリア」は、歌曲集『湖上の美人』に含まれる「エレンの歌 第3番」D.839(Op.52-6)。原詩はウォルター・スコット、独訳はアダム・シュトルク。独唱とピアノのためのリートとして作曲され、のちにラテン語の祈祷文でも歌われるようになった。独唱、合唱、オルガンや弦楽編など多様な版が流通する。

音楽的特徴と表現

祈りを思わせる滑らかなカンタービレ旋律と、ピアノの分散和音による静かな支えが核。音域は過度に広くなく、長いフレーズを息で紡ぐ解釈が要となる。和声は穏やかな主調を基軸に、中間で陰影を増し再現で安らぎへ戻る。テンポは急がず、言葉とレガートを最優先に。

歴史的背景

作曲は1825年。スコットの物語詩『湖上の美人』がドイツ語圏で人気を博し、シューベルトは全7曲の連作として発表した。その第6曲が本作で、敬虔な祈りの場面を音楽化。19世紀以降、教会や家庭音楽で浸透し、リスト編などのピアノ編曲や合唱版を通じて広まった。

使用された映画・舞台(該当時)

代表例として、ディズニー映画『ファンタジア』(1940)の終幕で合唱とオーケストラ編曲が用いられたことが広く知られる。ほかの具体的使用作品は情報不明だが、式典や舞台、CMなどで頻繁に採用される。宗教儀礼や結婚式、追悼の場でも定番曲である。

現代における評価と影響

今日では声楽の基本レパートリーであり、器楽奏者にも愛奏される。録音は歴代の名歌手から現代アーティストまで幅広く、独語版とラテン語版が併存。教育現場でもレガート唱法や音楽的呼吸を学ぶ教材として重宝される。旋律の普遍性がジャンル横断の受容を支えている。

まとめ

本作はリートとして生まれながら宗教的文脈にも根づいた稀有な名曲。簡素な和声と清澄な旋律が、言語や編成を超えて祈りの情感を伝える。由来と用法を理解し、原曲の性格を尊重することで魅力はいっそう明瞭になる。