アーティスト情報なし
I'm Getting Sentimental Over You
- 作曲: BASSMAN GEORGE
I'm Getting Sentimental Over You - 楽譜サンプル
I'm Getting Sentimental Over You｜楽曲の特徴と歴史
基本情報
「I'm Getting Sentimental Over You」はGeorge Bassman作曲、Ned Washington作詞による1932年の楽曲。ジャズ・スタンダードとして知られ、特にトミー・ドーシー楽団のテーマ曲として名高い。原曲は歌詞を伴うが、器楽演奏でも広く親しまれ、ビッグバンドからコンボまで幅広い編成で取り上げられている。
音楽的特徴と演奏スタイル
緩やかなテンポのバラードで、滑らかな旋律線が特徴。レガート主体のフレージングや、トロンボーンの歌心を生かした表現に適し、序奏で自由なルバートを置くアレンジも多い。和声は豊かで、内声の動きやサブドミナント系の色彩が情感を支え、ボーカルでは繊細なダイナミクスと明瞭なディクションが要される。
歴史的背景
1930年代、スウィングの隆盛と共に本曲はラジオやダンスホールを通じて浸透した。トミー・ドーシーがテーマ曲として採用したことで象徴的存在となり、同楽団のサウンドとともに大衆に定着。シート・ミュージックや78回転盤の流通が拡大した時期と重なり、アメリカン・ポピュラーの重要レパートリーとして定位置を獲得した。
有名な演奏・録音
代表格はトミー・ドーシー楽団による録音で、滑らかなトロンボーンの旋律が決定版として知られる。以降、多くのジャズ歌手やトロンボーン奏者がレパートリーに採用し、ビッグバンド版、小編成版、ボーカル版と多様な解釈が生まれた。映画やテレビで取り上げられることもあり、世代を超えて認知が広がっている。
現代における評価と影響
今日では標準曲集にも掲載され、ジャズ教育の現場でバラード表現やレガートの練習曲として扱われることが多い。アレンジャーにとってはハーモニー処理やコール＆レスポンスの設計が試される題材であり、演奏者にとっては音色と息遣いのコントロールを磨く好例として評価が定着している。
まとめ
「I'm Getting Sentimental Over You」は、歌詞付きのポピュラー・ソングとして生まれ、ジャズ界で磨かれてきた名曲である。端正で情緒豊かな旋律は今も色褪せず、舞台やレコーディングで息長く演奏され続ける。初学者から熟練者まで、楽曲の核心にある“歌心”を学べる定番として位置づけられる。