New World 新世界
- 作曲: DVORAK ANTONIN

New World 新世界 - 楽譜サンプル
New World 新世界|作品の特徴と歴史
基本情報
ドヴォルザークの交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」(英題 From the New World)は、1893年ニューヨークで完成。初演は同年12月16日、カーネギー・ホールでアントン・ザイドル指揮ニューヨーク・フィル。全4楽章、約40〜45分。木管にイングリッシュ・ホルンを含む標準的な大編成。
音楽的特徴と表現
最大の聴きどころは第2楽章ラルゴのイングリッシュ・ホルン旋律。ペンタトニックや素朴な和声が郷愁を生む。第1楽章はソナタ形式で力強い主題対比、第3楽章はボヘミア舞曲を思わせる躍動、第4楽章は主題回帰で全曲を総括。循環動機とブラスのコラールが構築感を与える。
歴史的背景
当時、彼はニューヨークのナショナル音楽院院長として滞在。アフリカ系アメリカ人のスピリチュアルやネイティブ・アメリカンの旋律を高く評価し、米国音楽の礎とすべきだと述べた。学生ハリー・T・バーレイから伝承歌を学んだ。直接引用の有無は情報不明で、独自主題とされる。
使用された映画・舞台(該当時)
作曲当時の映画使用は時代的に存在せず。後年は第2楽章が映像作品やCM、式典音楽にしばしば用いられるが、具体タイトルは情報不明。なお同旋律に詞を付した「Goin’ Home」(1910, 詞: ウィリアム・アームズ・フィッシャー)は合唱や独唱で広く歌われる。
現代における評価と影響
本作は今日、世界の主要オーケストラが最頻演目の一つとして取り上げ、教育現場でも定番。録音ではケルテス&ロンドン響、バーンスタイン&ニューヨーク・フィル、カラヤン&ベルリン・フィル、ノイマン&チェコ・フィルなどが名盤として知られる。
まとめ
「新世界より」は、ボヘミアの感性とアメリカ体験が交差して生まれた、明快さと郷愁を併せ持つ交響曲である。直接引用は情報不明だが、多文化的要素を語法へ昇華した点が魅力。まず第2楽章の旋律美を味わい、次に循環動機や終楽章の総括性へ耳を開けば、作品像が立体化する。