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I'm Walkin'
- 作曲: BARTHOLOMEW DAVE, DOMINO ANTOINE

I'm Walkin' - 楽譜サンプル
I'm Walkin'|歌詞の意味と歴史
基本情報
「I'm Walkin'」は、Antoine “Fats” DominoとDave Bartholomewによる1957年発表の楽曲。Fats Dominoの歌とピアノを中心に、ニューオーリンズ流のシャッフル・グルーヴ、ホーン・セクション、ウォーキング・ベースが絡む軽快なR&B/ロックンロール作品で、レーベルはImperial Records。発売当時からヒットを記録し、Dominoの代表曲の一つとして広く知られている。作曲と著作権表記はDomino/Bartholomew名義で統一され、以後多数のアーティストによりカバーされ続けている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、自信に満ちた語り口で恋人への想いと行動力を宣言する内容。歩き出し、話しかけ、会いに行くという直截的なフレーズが繰り返され、前向きなエネルギーと軽やかなユーモアが同居する。難解な比喩よりも口語的でリズミックな言い回しが多く、シンコペーションするメロディと合わさって、言葉自体がビートの一部として機能するのが特徴。恋の駆け引きを“歩く・話す”という身体的な動詞で描くことで、ダンスフロアの高揚をそのまま物語化している。
歴史的背景
1950年代半ば、ニューオーリンズのR&Bはロックンロールの形成に決定的な役割を果たした。プロデューサー/共同作者として名高いBartholomewと、温かなブギウギ・ピアノで人気を博したDominoの黄金タッグは、同地のサウンドを全米へ押し広げた存在で、「I'm Walkin'」もその延長線上にある。歯切れの良いバックビート、跳ねるベース、ソリッドなホーン・リフが相まって、当時のダンス音楽の要請に応えつつ、後年のロックやロカビリーへと受け継がれる定型を提示した。
有名な演奏・映画での使用
最も知られるのはFats Domino本人のオリジナル録音。加えて、Ricky Nelsonがテレビ番組『The Adventures of Ozzie and Harriet』で披露し、1957年にシングルとして発表したカバーは、若年層にも曲の知名度を押し広げた重要なバージョンである。以降、オールディーズ系のライブやトリビュートで定番的に取り上げられる。映画での具体的な使用例は情報不明だが、1950年代ロックンロールを象徴する選曲としてプレイリストやラジオ番組で採用されることが多い。
現代における評価と影響
「I'm Walkin'」は、ニューオーリンズR&Bの躍動感を体現する名曲として評価が定着している。シンプルなコード進行と覚えやすいコール&レスポンス的フックは、ロックンロールの原型を学ぶ教材としても有用で、リズム・セクションのグルーヴ構築やブラスの短いリック配置など、アレンジ面の示唆も多い。今日でもバー・バンドやカバーバンドのレパートリーに入りやすく、世代を超えてプレイされることで、当時のダンス・フィールとソングライティングの強度を改めて証明している。
まとめ
Fats DominoとDave Bartholomewが生み出した「I'm Walkin'」は、明快な言葉と弾むビートで恋の高揚を描く、1950年代ロックンロールの精髄。オリジナルの魅力に加え、Ricky Nelsonのヒット・カバーによって裾野を広げ、現在も現場で生き続けるレパートリーだ。ニューオーリンズ由来のグルーヴ、簡潔ながら強靭なソングクラフトは、今なお多くの演奏家とリスナーを惹きつけてやまない。