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石川さゆり

天城越え

  • 作曲: 弦 哲也
#歌謡曲
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天城越え - 楽譜サンプル

天城越え|歌詞の意味と歴史

基本情報

「天城越え」は、弦哲也が作曲、吉岡治が作詞し、石川さゆりが歌唱した演歌。1986年に発表され、伊豆の天城峠を舞台に濃密な情愛を描く物語性で知られる。哀切な旋律とドラマティックな構成が特徴で、日本の歌謡史に残る名曲と評価されている。レコーディングの詳細な編成や原調、チャート成績などの細部データは情報不明。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“越え”は、地理的な峠越えであると同時に、禁断の一線を越える心情を象徴する。女性主人公の語り口で、愛、嫉妬、罪の意識が交錯し、切迫した感情が頂点に達していく。比喩表現や地名の提示が風景と心象を重ね、聴き手に物語の現場を鮮やかに想起させる。直接的な描写を避けつつ強い情念を匂わせる言葉運びが、聴後に余韻を残す。

歴史的背景

昭和末期の1980年代半ば、歌謡界はアイドルやポップスが席巻する一方で、物語性と歌唱力を軸にした正統派演歌も根強く支持されていた。作詞家・吉岡治と作曲家・弦哲也は、叙情と劇性を融合させる名コンビとして評価され、本作でその美学が結晶。伊豆の天城峠という実在の地名は、旅情と境界のメタファーを与え、時代を超える普遍性を楽曲にもたらした。

有名な演奏・映画での使用

石川さゆりのコンサートでは定番曲として扱われ、テレビの歌番組やNHK紅白歌合戦でも複数回にわたり披露されてきた。多くの歌手がリスペクトを込めて歌唱する機会があり、カバーや編曲版も存在するが、網羅的なリストは情報不明。映画やドラマでの明確な使用事例については情報不明だが、舞台化・映像化の場面でしばしば言及されるほど認知度が高い。

現代における評価と影響

発表から数十年を経ても“演歌の名曲”としての評価は揺るがず、カラオケでも世代を超えて歌い継がれている。サビでの盛り上がりや情念の表現は歌唱技術の見せ場となり、ライブでは間合いやダイナミクスの工夫でさらにドラマを増幅。若い世代のシンガーによる再解釈も見られ、和の情緒をもつ叙情バラードとして再発見が進むなど、影響は現在も持続的だ。

まとめ

「天城越え」は、峠という具体的な風景を背に、人の心が越えてしまう境界を描いた物語演歌の到達点。弦哲也の旋律と吉岡治の言葉、石川さゆりの圧倒的な歌唱が三位一体となり、時代を超えて響く強度を獲得した。細部の制作データに情報不明はあるものの、名曲としての存在感は揺るぎない。初めて聴く人にも再発見を求める人にも薦めたい一曲である。