TAKARAJIMA/宝島
- 作曲: 和泉 宏隆

TAKARAJIMA/宝島 - 楽譜サンプル
TAKARAJIMA/宝島|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「TAKARAJIMA/宝島」は、キーボーディスト和泉宏隆が作曲したインストゥルメンタル曲。初出は1986年、当時THE SQUARE名義のT-SQUAREが発表したアルバム「S.P.O.R.T.S.」に収録された。歌詞は存在しない。明朗なメロディと都会的なアンサンブルが特徴で、日本のフュージョンを象徴する代表曲として広く知られる。国内の吹奏楽・ビッグバンドのレパートリーとしても定着し、学校現場からプロのステージまで幅広く演奏されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
爽快な主題旋律に、16ビートの軽快なグルーヴとシンコペーションが絡む。サビは明るい和声進行で高揚感を生み、間奏にアドリブ・ソロを配する構成が一般的。原曲ではサックスやEWIがテーマを担い、エレキギター、シンセ、リズムセクションが洗練されたコンピングを展開する。ブラス・ヒットやユニゾン・リフのキレ、アクセントの配置がサウンドの要。吹奏楽編成ではトランペットとサックス群のコール&レスポンスが映え、ベースとドラム(打楽器群)が推進力を支える。テンポは中速域で、音の立ち上がりと切り際の精度、ダイナミクスのコントロールが完成度を左右する。
歴史的背景
1980年代半ばの日本ではフュージョンがポピュラリティを獲得し、T-SQUAREはその中心的存在だった。「宝島」はその潮流の中で生まれ、メロディアスで親しみやすい作風によりライブの定番曲へと成長。都会的で洗練されたサウンドは当時の音楽シーンと親和し、以後、同バンドの象徴的レパートリーとして長く愛されてきた。
有名な演奏・録音
基準となるのはアルバム「S.P.O.R.T.S.」(1986年)のオリジナル録音。以降もT-SQUAREの各時代のライブでたびたび再演され、編成やソリストの違いによるニュアンスの変化が楽しめる。吹奏楽では真島俊夫による編曲版が広く普及し、コンサートやマーチングの定番として多数の団体に演奏されている。プロの吹奏楽団や市民バンドの録音も複数存在し、音源を通じてアーティキュレーションやバランスの手本として参照されている。
現代における評価と影響
今日でも「宝島」は世代を超えて支持され、学校の部活動からプロの現場まで幅広い場で取り上げられる。技術的にはリズム精度、アンサンブルの切れ味、ソロの即興性など学習効果が高く、教育的価値も大きい。動画プラットフォームや配信ライブを通じた演奏の共有が進み、国内外の奏者にとって“日本発フュージョンの名刺代わり”の一曲として定着している。
まとめ
「宝島」は、親しみやすい旋律と洗練された16ビートの融合により、リスナーと奏者の双方を魅了し続ける。1986年の誕生以来、T-SQUAREの象徴的ナンバーとして定番化し、吹奏楽やバンド編成へ飛躍的に広がった。インストゥルメンタルの魅力と日本フュージョンの強みを端的に示す、時代を超える名曲である。