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Afro Blue (John Coltrane version)
- 作曲: SANTAMARIA MONGO

Afro Blue (John Coltrane version) - 楽譜サンプル
Afro Blue (John Coltrane version)|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Mongo Santamaria作曲の「Afro Blue」は、アフロ・キューバン由来のリズムを土台にしたジャズ・スタンダード。ジョン・コルトレーンは1963年、自身のカルテットで録音し、アルバム『Live at Birdland』に収録された。コルトレーン版は主としてインストゥルメンタルで演奏され、歌詞版(作詞:Oscar Brown Jr.)も存在するが、本バージョンは器楽解釈が中心である。
音楽的特徴と演奏スタイル
コルトレーン版の核は3:2クロスリズム。3/4系の脈動と6/8的な分割が重なり、強靭なポリリズムが展開する。エルヴィン・ジョーンズの重層的ドラミング、ジミー・ギャリソンのオスティナート・ベース、マッコイ・タイナーのクォータル・ヴォイシングが対話を築き、コルトレーンは主にソプラノサックスでモーダルに即興。静と動のダイナミクスを巧みに操り、リズムの推進力と音色の緊張感が際立つ。
歴史的背景
原曲はMongo Santamariaが提示し、アフロ・キューバン・リズムとジャズを架橋する重要作として受容された。コルトレーンが取り上げた1963年は、彼の表現がモードの深化とリズム語彙の拡張へ向かう時期。カルテットの成熟とともに、本作はコンサートでのハイライトとなり、アフロ由来の拍節感をジャズ文脈に定着させる一助となった。
有名な演奏・録音
代表例として、サンタマリア自身の演奏、ジョン・コルトレーン・カルテットによる1963年版(『Live at Birdland』収録)が挙げられる。ヴォーカルではAbbey LincolnやNina SimoneがOscar Brown Jr.の歌詞で録音し、ピアニストのMcCoy Tynerらもレパートリーに取り入れている。多様な解釈が存在するが、コルトレーン版はその強烈なポリリズム処理で特に参照点となっている。
現代における評価と影響
「Afro Blue」は教育現場やセッションで頻繁に扱われ、クロスリズム習得の教材として定評がある。コルトレーン版のモーダル即興とエネルギッシュなアンサンブル運動は、スピリチュアル・ジャズから現代ジャズに至るまでのサウンド設計に影響を与え続け、ドラマーやピアニストのアプローチにも長期的な指標を提示している。
まとめ
アフロ起源のリズム語法をジャズの即興美学に融合した本作は、原曲の魅力を保ちながら、コルトレーン解釈によって劇的な推進力と深度を獲得した。名演の聴取は、リズムとモードの関係性、そしてアンサンブルの相互作用を体感的に学ぶ近道であり、今なお演奏者と聴き手の創造性を刺激し続けている。